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188 猫又2
猫又という妖怪がおります。
民間伝承や怪談などに多く登場し、猫又は尾が二又に分かれた化け猫で、墓場などから死体を盗んでいったといいます。
ある村でのこと。
この日は村の長の葬儀ということで、村をあげて朝早くから何かと準備がなされていました。
猫又は村人になりすまして葬儀の中にまぎれ込み、そして死体を盗む隙あらばと、物陰からその機会をじっとうかがっていました。
と、そのとき。
「ねえ、そんなところでボーと突っ立てないで、ちょっと井戸水を汲んできておくれでないか?」
猫又はお婆さんから桶を手渡されました。
「このあたしがですか?」
「みんな、見てのとおり忙しいんでな。今日は猫の手も借りたいぐらいなんだよ」
・猫又=猫の手
・猫の手も借りたい=非常に忙しく手不足な状態




