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187 山姥1
山姥という妖怪がおります。
日本各地に伝承があり、これは化け物の本性を隠して旅人などに宿を貸しました。
このときはじめは美女の姿をしていますが、旅人が床に入ると本性をあらわし、寝ている旅人を喰ったといわれています。
ある夕暮れとき。
旅の男が山中で道に迷ってしまいました。
そんなとき男はたまたま明かりを見つけ、そこが山姥の家だとは知らずに戸を叩きました。
美しい女が顔を出します。
「それはおこまりでしょう」
女は男の夕飯をこしらえ、さらには寝床の準備までしてくれ、何かと世話を焼いてくれました。
――もしや山姥では?
男もさすがに女を怪しみ始めます。
この山姥。
世話を焼きすぎて、内なる老婆心を隠せませんでした。
・山姥=老婆
・老婆心=老婆が必要以上に世話をやこうとする




