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18 小豆はかり1
小豆はかりという妖怪がおります。
姿は現さずに人家で小豆の音を立てる妖怪とされていますが、まれに祝い事のある家を狙って現れ、赤飯に使われる小豆の計り売りをするといわれています。
その昔。
某豪商の家に初孫が生まれ、店の主がおおいに喜んでいたところへ、老婆の小豆売りがやってきました。
「1合いくらだ?」
主は商売人らしく問いました。
「10文じゃ」
それは相場の半値でした。
「安いな、1升もらおう」
老婆は一合升で計りながら、小豆を10回、主が用意した袋に移しました。
老婆が帰ったあと、主が袋から鍋に移し替えたところ、小豆はなぜか3合ほどしか入っていませんでした。
「はかられた!」
・はかる=計る=謀る
・1合(米150g)




