177/922
177 イデモチ
イデモチという妖怪がおります。
熊本県多磨群に伝承があり、名前のイデモチはこの地方の言葉で「淵の王」を意味します。
イデモチは水の妖怪であるとされ、普段は「さかま淵」という淵の底に障子を立て、その中に隠れ潜んでいたといわれています。
また、この妖怪は腹部に吸盤を持っており、これで人間に吸い付き、捕まえて食べていたといいます。
熊本県の人吉市に「よけまん妖怪イデモチ」という名称の焼酎があるのですが、その酒瓶のラベルには腹に吸盤があり、尖った歯の生えた口をしたカエルが描かれています。
こうしたことから、これは大きな蝦蟇のような妖怪だったことがうかがえます。
このイデモチ。
ガマんならんやつでした。
・ガマん=蝦蟇=我慢




