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176 三本足の犬
三本足の犬は、犬の習性の由来を説く昔話です。
東北から九州まで広く伝わっており、これは海外でもよく似た類型の話が確認されています。
その昔。
犬は足が3本しかなく、自由に走りまわることができませんでした。
ある日。
神様が犬の前に現れます。
そして炉の火の上に据える「五徳」から足1本を取って、困っている犬に与えました。
こうして犬は4本足となり、かたや五徳の足は1本減りました。
それ以来。
恩を忘れぬ犬は、小便をするとき後ろ足の片方を上げ、神様にいただいた足を汚さないようにしているのだといいます。
ただしこれをするのは雄犬だけです。
雌犬は自分はオンナシと思っているのか、決して足を上げることはありません。
・オンナシ=恩なし=女し
・五徳=炭火などの上に設置し、鍋やヤカンなどを置くための器具




