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17 塗壁
塗壁という妖怪がおります。
九州北部に伝承があり、夜道を歩いていると目の前が突如として目に見えない壁となり、前へ進めなくなってしまうというものです。
福岡県遠賀郡の伝承。
壁の横をすり抜けようとしても左右どこまでも続いており、これを避けて進むことはできず、このとき上の方を払ってもどうにもなりませんでしたが、棒で下の方を払えば壁は消えたといいます。
大分県豊後高田市香々地町の伝承。
正体は狸が金玉を大きく広げて、夜道を行く人の視界をふさいでいるのだといわれています。
そのときは、その場に座り込んで煙草に火をつけて一服すると、視界が開けて前に進むことができたといいます。
この塗壁。
出遭うのはタマタマでした。
・タマタマ=たまたま=金玉




