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166 雷神
雷神は民間信仰における雷の神で、和歌山県海南市に次のような話が伝わっています。
その昔。
某寺に落ちた雷を住職がお堂に閉じ込めました。
天上の雷たちは仲間を返すよう村の長に相談してくれと、村娘に5段の重箱を持たせました。
娘から雷の話を伝え聞いた長は、重箱の中身を見てから判断することにし、引き出しを順に開けました。
一番上の段には人間の目玉が入っていました。
2段目は鼻が入っていました。
3段目は口でした。
4段目をのぞいた長が顔をしかめます。
娘が問いました。
「長どの、それには何が?」
「ヘソだ」
「ヘーソーなんだ。だったら5段目は見ない方が」
「どうしてだ?」
娘が顔を赤くして言います。
「だってヘソの下ですもの」
・重箱=二重から五重に積み重ねられ最上段に蓋のある箱




