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164 おしら様
おしら様は東北地方で信仰される家の神で、養蚕など農業の神とされています。
ご神体は桑の木で作った1尺程度の棒の先に、人や馬の顔を彫ったり描いたりして、さらに衣を重ね着させたものでした。
その昔。
ある百姓の家に美しい馬が飼われていました。
「なんてステキなの」
娘は馬を愛するようになり、馬も娘を愛し、ついに娘と馬は夫婦になりました。
けれど、そんなことは許されるはずもなく、娘の父親は怒って、馬の首をはねてしまいました。
このとき娘が泣いて馬の首に飛びつくと、その首は娘を乗せて空へと昇っていき、百姓の家には首のない馬が残されました。
このおしら様。
娘との当時のことが懐かしく、今はカイコしているといいます。
・カイコ=蚕=回顧
・カイコ=絹の生産(養蚕)のためにクワコを家畜化した昆虫
・一尺=約30センチ




