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161 屏風のぞき女
屏風のぞき女という妖怪がおります。
これは山田野理夫著『東北怪談の旅』に「屏風のぞき女」と題し、秋田県の怪談として次のような話があります。
仙北郡角館の武士、西田清左衛門が妻をめとり、その夜、新妻を抱こうとしたところ、ひどく痩せた女が長い髪を垂らし、屏風の陰から二人のことを覗き見ていました。
清左衛門が「どこから来たか」と問うと、女は「のぞき女だ」と答えました。
次の晩。
再びのぞき女が現れたので、清左衛門が屏風を立てることをやめて蔵にしまったところ、のぞき女は現れなくなりました。
その後。
この屏風は寺に奉納されたといいいます。
以来、女は二度と現れませんでした。
この屏風のぞき女。
お蔵入りになりました。
・お蔵入り=蔵に入れる
・お蔵入り=計画が実行に移されなくなる
・山田野理夫(やまだのりお・1922~2012・小説家、詩人)
・『東北怪談の旅』(1974年刊行・怪談集)




