157/922
157 目玉しゃぶり
目玉しゃぶりという妖怪がおります。
平安時代末期の説話集『今昔物語集』に次のような話があります。
その昔。
近江国の瀬田の唐橋のたもとに美しい女が立っていて、橋を渡る者に絹で包まれた箱を渡してお願いします。
「あちらの橋のたもとにいる女の人に、この箱を渡してください。でも絶対に中を見ないでくださいね」
箱を受け取った者が橋を渡ると、そこにはたしかに別の女が立っています。
このとき約束を守って箱を渡すと何事も起きませんが、箱の中をのぞくと人間の目玉が大量に入っていました。
その後。
その者は原因不明の病気で命を落とし、死体からは目玉が消えていたといいます。
この目玉しゃぶり。
約束を破ると大目玉を喰らいました。
・大目玉を喰らう=目玉しゃぶり=目玉を食べる
・大目玉を喰らう=こっぴどく叱られる
・『今昔物語集』(作者不詳・平安時代末期に成立の説話集)




