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156 イペタム
イペタムは妖刀の一種です。
アイヌに伝承があり、アイヌ語でイペは「食う」、タムは「刀」という意味です。
その昔。
ある村長の家にあった妖刀は、人の血を求めて動きまわるため、蒲で編まれた包みにしまわれていました。
ある日。
蒲の包みが光りました。
村長はこれを不気味に思って、包みが光るたびに山や川に捨てたのですが、刀はどこへ捨てても戻ってきました。
その後。
妖刀は石と一緒に鉄の箱に入れておくとおとなしくなると聞き、村長がその教えどおりにすると、しばらく箱の中で石を削る音がしていました。
以来。
石を削り終えると箱が光り、村長はそのたびに石を入れました。
この両者。
長らくツバぜり合いが続いたといいます。
・ツバぜり合い=刀
・ツバぜり合い=勝負などで激しくやり合う
・蒲=多年草の抽水植物




