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149 セコ1
セコという妖怪がおります。
九州地方に伝承があり、河童が川から山に移り住んだものだといわれ、相撲が大好きで、人間を見つけては相撲を挑んできました。
ある日。
二人の木こりが山仕事をしていると、「ホーイ、ホーイ」という鳴き声が聞こえてきました。
二人は鳴き声からセコだとわかりました。
それからすぐに「ホイ、ホイ」とセコが現れ、「おれに勝ったらいいものをやろう」と言って、木こりたちに相撲を挑んできました。
「よかろう」
木こりの一人が受けて立ち、セコをあっという間に投げ飛ばしました。
木こりがセコに向かって言います。
「約束のものをいただこうか」
「ホイ」
セコが差し出したものはドングリの実一つでした。
「セコッ」
・セコッ=セコい=けちくさい




