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147 目競
目競という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にあり、これは平清盛が遭遇した化け物だとしています。
ある朝。
清盛が中庭に通じる戸を開けると、いくつもの髑髏が中庭に転がっており、それらは右に左にと動きまわっていました。
それから間をおかず、髑髏は合体して巨大な目競となり、無数の目で清盛をにらみつけてきました。
清盛も負けていません。
「なんの、目にもの言わせてやるわ!」
清盛は目を大きく見開いてにらみ返しました。
両者のにらみ合いが続きます。
やがて清盛の目力に恐れをなしたのか、
「まいりました!」
目競は一言残して消え去りました。
清盛は目にもの言わせました。
・目競は一言残し=目にものを言わせる
・目にもの言わす=目つきや目くばせで気持ちを伝える
・平清盛=(1118~1181・平安時代末期の武将)
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔百鬼拾遺』(こんじゃくひゃっきしゅうい)




