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145 足長手長
足長手長という妖怪がおります。
古くは中国の古代の地理書『山海経』に記されてあり、足長人は足長国、手長人は手長国の住民で、それぞれ足と手が体長に比べ非常に長くできていました。
海で漁をするときは必ず二人一組となり、足長人が手長人を背負い、手長人が手を伸ばして魚を捕まえたといいます。
ちなみに足長人の足の長さは9メートル、手長人の手の長さは6メートルありました。
ある日。
足長人と手長人はいつものように漁に出かけました。
足長人が歩きながら問います。
「さて、今日はどこの浜に行くかのう?」
「おぬしのいいところに」
手長人は足長人の背で答えました。
この足長手長。
どこへ行くにも足まかせでした。
・足まかせ=行く先を前もって決めないで気の向くままに歩く
・『山海経』(せんがいきょう・紀元前4世紀~3世紀頃、中国最古の地理書)




