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130 いきすだま
いきすだまは生きている人間の怨霊で、生霊ともいいます。
日本各地に伝承があり、これは生きている人間の魂が体外に出たもので、人が夢を見るのはこのときだといわれています。
江戸時代前期、作者不詳の怪談集『曽呂利物語』に次のような話があります。
その昔。
眠っている最中に魂が体から抜け出し、それが生首となってさまよい歩く女がいました。
ある夜のこと。
女の生首は、奉公先の主人に見つかって追われることになりました。
逃げて体に戻り、そこで目を覚ました女は、主人に追われる夢を見たことを話すと、主人は怒って女を店から追い出しました。
このいきすだま。
奉公先でクビになりました。
・クビ=生首になる=クビになる
・クビになる=仕事を解雇される
・『曽呂利物語』(作者不詳・1663年刊行の仮名草子・奇談集)




