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13 塗仏
塗仏という妖怪がおります。
江戸時代のいくつかの妖怪絵巻にあり、それらには黒ずんだ坊主姿で描かれているのですが、己の目玉を飛び出させて人間を驚かせたといいます。
とあるお寺。
そこのお堂には1体の塗仏があり、この塗仏が突然ポロッと目玉を出すことから、観光客にたいそう人気がありました。
ある日。
住職は塗仏をさらに目立たせようと、仏師に頼んで全身に金箔を施したのですが、このとき仏師が目玉をニカワで固定したことから、塗仏は目玉を出すことができなくなりました。
参拝客が激減。
そう心配されましたが、寺は以前にもまして観光客で賑わうようになりました。
この塗仏。
ポロッと金玉を出すようになったのです。
・金玉=金箔




