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118 赤坊主
赤坊主は新潟県、京都府、愛媛県に伝承があり、それぞれ伝承が異なります。
このうち京都府の赤坊主は家に吉事が起きる前兆だといわれ、江戸時代中期、柳原紀光の『閑窓自語』に次のような話があります。
江戸時代中期。
公家で優れた歌人、日野資枝という男がいました。
その資枝が若い頃、仲間たちと夜更けまで酒を飲んで話をしていたところ、屏風の裏が急に明るくなり、何やら人の気配がしました。
資枝が屏風の裏をのぞくと、真っ赤な炎の中に怪しげな坊主が立っていました。
このとき資枝が驚いて大声を上げたことから。吉事の前兆どころか、すぐに姿を消さざるをえませんでした。
この赤坊主。
この夜はウラ目に出ました。
・ウラ目=屏風の裏=裏目
・裏目に出る=好い結果を期待してやったことが、逆に不都合な結果になる
・柳原紀光(やなぎわらもとみつ・1746~1800・公卿・歴史家)
・『閑窓自語』(かんそうじご・随筆)




