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105 栄螺鬼1
栄螺鬼という妖怪がおります。
これは30年生きたサザエが化けたもの、もしくは好色な女が海に投げ込まれてサザエと化し、さらに歳月を経て化けたもので、月夜には海中から姿を現して踊り出し、その姿は龍のように見えたといいます。
その昔。
ある好色な娘がおり、この娘は恋仲の男に海に投げ込まれて殺されました。
男がほかに女を作ったのです。
その女は美しく、かたや娘はひどく太っていたのでした。
海の中。
憎い男に復讐するため、娘はサザエと化そうとしていました。
サザエにさえなれば、いつか栄螺鬼となることができます。
ただ太った身体。
サザエの壺の中にいかにして入るかです。
ツボにはまれば栄螺鬼になれます。
・栄螺鬼=サザエの壺
・ツボにはまる=壺に入る=急所をつかむ
 




