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104 加牟波理入道1
加牟波理入道という妖怪がおります。
江戸時代中期、鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』にあり、大晦日、厠に現れて口から鳥を吐き、出遭った者に災いや不幸をもたらしました。
そんなとき。
「がんばりにゅうどうホトトギス」
この呪文を三度唱えれば、災難や不幸から逃れることができたといいます。
ちなみに呪文のホトトギスは、異種の鳥の巣に托卵をするカッコウのことです。
その昔。
ある大店に婿入りした男がおりました。
大晦日の夜、男は厠で加牟波理入道に遭遇しました。
その後。
妻に赤子が生まれ、男はその子を我が子のように育てることになりました。
この加牟波理入道。
よからぬことをタクランでいました。
・タクラン=托卵=企んで
・托卵=自分の卵と誕生した雛への世話を他の個体に托す
・鳥山石燕(とりやませきえん・1712~1788・画家)
・『今昔画図続百鬼』(こんじゃくがずぞくひゃっき)




