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103 正吉河童
正吉河童は大分県日田市に次のような話が伝わっています。
ある日。
正吉という少年が川で遊んでいたところ、水の中から何者かに悪戯をされたので潜ってこらしめてやりました。
その夜。
正吉は夢遊病者のように家を出て、川辺で延々と相撲を取り続ける羽目になりました。
一方。
父親は正吉の姿が見えないため、方々を探しまわりました。
すると正吉が川辺で一人で暴れており、それはまるで何者かと相撲を取っているかのように見えました。
その直後。
正吉がごろんと転び、続いて川面に大きな水しぶきが上がりました。
父親が何事かと急いで駆けつけると、正吉はおとなしく座っており、その身体は泥で汚れていました。
この相撲。
土がついたのです。
・土がつく=泥で汚れる
・土がつく=勝負がつく




