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102 海鳴り小坊主
海鳴り小坊主は怪異の一種です。
石川県羽咋市に伝承があり、同市の気多大社の裏の森でガヤガヤと人のような声がするのを、能登の人々はこの名で呼んで恐れていました。
この森は「入らずの森」と呼ばれ、日本海に面してあるのですが、これはかつて上杉謙信の軍勢に攻め込まれ、海に身を投げて命を落とした僧兵たちの亡霊が成仏しきれず、海から上がってきて鎮守の森の木々にしがみつき、木を鳴らして音を立てているのだといわれています。
また一の宮村では、僧兵たちの悲鳴が海鳴りになって聞こえるといいます。
この海鳴り小坊主。
森の木にしがみつくだけで、宿って木霊となることはありませんでした。
霊がキに入りませんでした。
・キに入り=木に入る=気に入る
・上杉謙信(1530~1578・北陸地方を支配した武将)




