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101 おさん狐1
おさん狐は娘に化けて現れ、いい男に言い寄るメンクイな化け狐で、鳥取市に次のような話が伝わっています。
その昔。
鳥取県八上郡小河内、おさん狐はその地のガラガラというところに棲んでいました。
ある日。
おさん狐は近在一のイケメン、忽平という男をだまそうとしましたが、反対に正体を暴かれて、二度と悪さをしないという約束のもとで許されました。
数年後。
忽平が用あって伊賀を旅していたところ、見知らぬ娘に「小河内の忽平はまだ生きてますか?」とたずねられました。
忽平が「その忽平はわしだ」と答えると、その娘は「やれ恐ろしや」と、あわてて山中に逃げ込んだといいます。
このおさん狐。
すっかり変わった忽平にメンクライました。
・メンクライ=メンクイ=面食らう
・面食らう=突然の事に驚きとまどう




