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1 アマビエ
アマビエという妖怪がおります。
顔が人間、首から下が鱗の半人半魚で、豊作や疫病などの予言をしたと伝えられています。
1846年5月。
毎晩、肥後国の浜辺近くの海上の一点が光り輝くため、役人たちが現場へと調査に赴いたところ、光っていた海中からアマビエが現れ、役人たちに向かって予言めいたことを口にしました。
「当年より6年間豊作が続くが、同時に疫病が流行するであろう。私の姿を描き写した絵を人々に見せよ」
このとき。
役人たちはアマビエに触りましたが、絵にすることはありませんでした。
その後。
城下で疫病が大いに流行り、役人をはじめ多くの人々が命を落としました。
アマビエの逆鱗に触れたのです。
・逆鱗に触れた=首から下が鱗
・逆鱗に触れる=目上の人を激怒させる
・肥後国(熊本県に属する)