↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
1/12

01_新しい甘々な生活

猫カレー(作者)自身が前作「現代の奴隷は実は天使で主人公は全力で幸せにする」終了でロスになって、その後の様子が見たくなりちょっとだけ書きました。

10話くらいで終わる予定です。

「かみさま、暑くないですか?」


「それは・・・シロが俺に抱き着いているからじゃないか?」


もう5月を迎え、随分温かくなってきた。

そんな少し暑い日だというのに、俺たちはシロの部屋に引きこもりがちだ。


10畳ほどの部屋にソファがあり、そこに座ってテレビを見ている。

そして、声の主、シロがすぐ横に座っている・・・と言うよりは、俺とソファの間に入り込んで、俺の背中から抱き着いている状態だ。


ちなみに、シロの脚は俺の脚の上に載っているので、完全に「ダッコちゃん」の状態だ。

この説明は何歳くらいの人まで通じるのか不明だが、後ろから抱き着かれている。

暑いのは気温のせいもあるけれど、ほとんどがこの密着率の高さだと思う。


「シロ暑いから脱いでもいいですか?」


「ちょっと待て。脱いで抱き着かれたら俺がたまらん」


「でも・・・(くんくん)」


「シロさん、そう言いながら密かに背中に顔をつけて、においを嗅ぐのをやめてもらえないだろうか」


シロはにおいフェチの傾向がある。

事あることに俺のにおいを嗅いでいる。


「かみさま、良いにおいですよ?」


「良いにおいかどうかは分からないが、とにかく恥ずかしい」


「でも・・・(すー、はー、すー、はー)シロは好き・・・(くんくん)ですよ?この辺りが特に好き」


「もうやめてあげてー」


シロは俺の背中に顔を付けたまま、不満そうにしている。

真後ろだから見えないけれど、間違いなく不満そうだ。


「よし、少し早いけれど、エアコンを入れるか」


「エアコンを入れたら涼しい!」


俺がエアコンのスイッチを入れソファに戻ると、シロは前から抱き着いてきた。

これはもう、テレビに飽きてイチャイチャしたいときの状態だ。


「かみさま、ちゅーしていいですか?」


(ちゅっ)


俺の返事よりも先に口にキスされてしまった。


「かみさま、すきー」


シロが俺の胸に顔をうずめてすりすりしている。

この部屋に住まわせてもらうようになって、3か月は経った。


シロと一緒に住み始めて足掛け1年弱。

我ながらよく飽きないものだと思う。


「かみさま、シロを見て」


「どうした?」


俺の胸元の高さのシロの顔を見る。


「よーく見て」


シロが俺の目を覗き込んでくる。

この上目遣いがどうしようもなく可愛い。

抱きしめたくなる。


それはそうと、どうしたというのか。


「かみさまの目・・・シロしか映ってない♪」


そりゃあ、これだけ近ければな。

もう、完全にテレビとか、どうでもいいらしい。

平日の昼間だし、それほど面白い番組はやっていないのでしょうがない。


何か考えようと思ったけれど、シロに邪魔されて何を考えていたか忘れた。


「(ちゅっ)かみさま(ちゅっ)3時になったら(ちゅっ)おやつを買いに(ちゅっ)コンビニ行く?」


最近はキス魔の傾向もあるのか、会話の途中でちょいちょいキスされる。

嫌いじゃないけど?

嬉しいけど?

ただ、やっぱり恥ずかしいので俺の耳は真っ赤になっているだろう。


「思い出した!今日、永一郎さんが昼過ぎにリビングに来てって言ってた」


『永一郎さん』とは、シロの父親、一ノいちのせ 永一郎えいいちろうさんのことだ。

この家の家主であり、たくさんの不動産物件を所有している資産家だ。


リビングは、30畳はあろうかという広さ。

そこにコの字に革張りのソファは置いてある。

その先には大画面テレビ。

あれって家庭に置くものだったのか・・・電気店のディスプレイ用だと思っていた。


いかにもお金持ちそうなものと言えば、暖炉がある。

形だけなのだが、この部屋の雰囲気にはバッチリマッチしていた。


調度品も多く、素人にも高級品だと分かる。

そして、嫌みじゃない感じがこのご夫婦の人柄の良さを示していた。


俺は、この家に居候させてもらっている状態だ。

シロの部屋で、2人で住ませてもらっている。


シロと俺が離れるとシロが精神的に不安定になるらしい。

それならばと、家賃程度お金を入れようとしたけど、一ノ清夫妻は、シロの治療も兼ねているからと言って受け取ってくれなかった。


更に言うと、3食付き。

おやつもお茶も出してくれる。

下手したらお小遣いまでくれる。

驚いたことに、家政婦さんもいるので、俺たちが買い物に行っている間に部屋は掃除してもらえる。


なんだこの好待遇・・・

将来は、まひろ(シロのこと)と結婚して、家を受け継いでほしいとも言われていて、完全に親子総出で俺をダメにしようとしている。


その永一郎さんがローテーブルをはさんで向かいに座っている。

そして、俺の横にはシロが座っていて、シロは俺の胴周りに手を回している。

どう見ても抱き着いている状態だ。

まあ、抱き着いているのだが。


「いや~、きみたちはいつも仲が良いねぇ」


「あ、すいません。変な感じで・・・」


永一郎さんは嫌みで言ったわけではない。

あまりにもべったりしている俺たちの方が間違っている。


「いや、いいね。部屋でもそんな感じなのかな?」


「いや~、部屋では・・・」


もっとひどいんですが・・・

とても言えなかった。


いくら記憶がないと言っても、実の親の前だ。

そう、シロはここ1年くらいの記憶しかなくなっていた。


以前のアパートの隣の部屋のベランダにいて、それを俺が保護したところから始まった。

最初はガリガリで、髪の毛はもじゃもじゃ。

男か女かも分からない程だった。

例えるならば、現代の奴隷。


風呂に入れて、ご飯を食べさせて、着替えさせて・・・長い時間をかけて少しずつ『普通』の生活ができるように慣れて行った。


隣の部屋では何年間も虐待されていたのかもしれない。

全身にやけどの跡がある。

古い火傷の跡だが、シロの白い肌に赤く痣の様に浮かび上がっていて、それを見ると悲しい気持ちにもなる。


そんな過去もあって、できるだけ幸せに過ごさせてやりたいと思っている。


虐待のこともあってか、ここ1年くらいの記憶しかなく、俺のアパートの部屋で過ごした記憶しかないらしい。

色々あったので、あのアパートは引き払った。

俺は、完全にこの家・・・と言うか3階建ての屋敷に住まわせてもらっている『ひも状態』だ。


「それで、今日はどうしたんですか?改まって」


永一郎さんに訊ねた。


やっぱり出て行ってほしいとかだろうか。

思い当たる節がありすぎる。


大学(通信制)の勉強は続けているが、所詮は大学生。

時間はたっぷりある。

バイトもちょこちょことやっているが、それでも以前よりも数が減った。

堕落傾向だ。


「そろそろ、まひろの誕生日だから、パーティーでもしようかと思って」


そうか、最初17歳だと思っていたシロは、実は15歳だった。

あの母子手帳って結局誰のだったんだ!?

そして、シロは今度16歳になるのか・・・


奥さんの鈴麗杏愛リリアナさんがコーヒーを持ってきてくれた。

シロは、脇目も降らず一緒に持ってこられたお茶請けのクッキーに手を出した。

鈴麗杏愛リリアナさんはその様子を微笑みながら、永一郎さんの隣に座った。


「そうですか。誕生日・・・」


「どうかしたかね?」


俺は苦笑いしていたようだ。


「シロ・・・まひろさんの誕生日知らなくて、去年の8月ごろ17歳の誕生日をしてしまったんです」


「ははは、そうかね。でも、それはありがとう。本当の誕生日は6月7日なんだよ」


「あ、もうすぐですね!」


「ああ、ここ数年、妻と2人で祝っていたから、今年は・・・ね」


永一郎さんは少し寂しそうな目でシロを見た。

シロは・・・一ノ清まひろは、5年ぶりにこの家に帰ってきていた。


「シロ、良かったな!誕生日パーティーだって」


「誕生日?誰のですか?」


「誰って、シロのだよ」


「え~、シロの誕生日は8月だよ~?」


「それが、間違えていたんだよ。本当は6月7日だった」


「違うもん!シロの誕生日は、8月11日だよ!かみさまが言ったもん」


しまったなぁ。


実は、シロは自分が「一ノいちのせ まひろ」だとは認めない。

DNA検査で検証されたのだから、一ノ清夫妻の子供であることは間違いない。

しかし、記憶がないために、自分のことを『シロ』だと思い続けている。


『シロ』は名前が分からなかったときに、俺が勝手に付けた名前だ。

髪の色の銀髪から『シロ』と名付けた。

銀髪なのだから、『ギン』とかになりそうだけど、黒髪が普通と思っていた俺にとって銀髪は『白い』と感じたのだ。


シロがいて、俺がいる。

にこやかで優しいシロの両親がいて、安定した生活。

少し堕落しそうな不安もあるが、甘々な恋人である、シロといつも一緒にいられるのならば、控えめに言っても幸せだろう。


今が幸せならばいいかと思っていたが、長年の虐待の後遺症は見えないところで残っていた。

そして、それがこの誕生日の日に露呈することになった。



とりあえず7話くらい書いたので、

1日3回更新でアップします。


朝6時、昼12時、夜18時の予定です。

よろしくお願いいたします。


右下のブックマーク登録と

その下の、☆☆☆☆☆を★★★★★にしてもらえたら嬉しいです♪


総合評価100ptを目指しています。

ぜひご協力ください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] かみさま、シロちゃん、お帰りなさい!(*´▽`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。