第一話 世界で一番いやな死に方
オレは日々だらしなく過ごしていると思う。
高校生というのに、勉強を頑張っているわけでも、部活を頑張っているわけでもない。かといって遊んびまくって青春を謳歌しているかというと、そうでもない。
そこそこの家に生まれ、大した苦労も知らず、友達もある程度いて、なんとなく外をぶらついて、家ではゲームしたり、漫画読んだり、SNSで友達をやり取りしたりと、ごくごく一般的な生活を送っていると思う。
なんの目的も夢もなく、ただ、ダラダラと生きていた。
なにかしたいと思うときもあるが、なにかやろうと思うと途端に面倒くさくなって全部中途半端に終わる。
それでもそこそこ楽しく過ごせているし、全ては両親のおかげで感謝もしている。
いつかは恩返ししたいと思ったりもするが、それは何年か先だろう。
それまではダラダラ過ごして、行ける大学に行き、内定の取れた就職するのだろう。
大勢が通る道。
だがそれは悪いことではないとオレは思っている。
大勢がその道を通るということは、それが効率的なやり方だと確立しているという証明じゃないか。
だからこのまま流されるままに、生きていれば間違いは起きにくい。
そう、このまま生きてさえいれば。
「やっべぇ。漏れそう、うわっ」
オレは帰宅中、トイレに駆け込んだ。
そして、なにか柔らかい物を踏んで、足を滑らせた。
鼻を刺激する悪臭により、踏んだものがう○こだと気づいた瞬間、目の前に大便器が現れた。
「がぼおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
顔が水の中に突っ込まれ、なにが起きたのか理解できなかった。
いや頭が理解したくなかったのかもしれない。
足を滑らせて顔が便器に突っ込むなんて、嫌すぎる。
だが、現実は残酷で、オレはあまりの苦しさにもがく。
盛大に突っ込んだせいで奥まで入り込んでいるからか、それともパニクっているからかわからないが、頭が抜けない。
上下がわからない。どっちが上でどっちが下なのだ。
腰も半端なく痛い。
体ねじれてるだろこれ。
逆さま状態で突っ込んでいることに気が付いた時には、すでに走馬灯の様に普段の生活が目に浮かんでいた。だが、そんなものを見ている余裕なんてない。
このままでは本当に死んでしまう。
便器に頭突っ込んでるオレは必死だった。
しかし、どうあがいても頭を抜くことはできなかった。
こうして、オレは世界一間抜けな死に方を体験したのである。
世界で一番かはわかりませんが、こんな死に方だけはしたくないです。
ブックマーク等よろしくお願いします!!




