第二話
ミサと出会あってから一週間が経とうとしていた。
「あ! 悠木さん!! おはようございます!!」
まだ距離があるというのに僕だと分かったんだろう。ミサがこの炎天下を意ともせず元気に挨拶をした。
そんなミサの挨拶に僕も軽く手を上げて挨拶を返した。
僕たちはあの出会い以来毎日遊んでいた。
「おはよう」
ミサが目の前まで来てから僕は改めて言葉にして挨拶をした。
この季節、外で遊ぶのは子供くらいと思っていたけど、ミサと遊び始めてからは外で遊ぶのも捨てたものじゃないなと、そう思うようにった。
本当に楽しい。心の中からそう言える。
ミサに対して不満は無い。そう、不満は……ない。ただ、どうしても疑問に思っていたことがあった。
一度気になるとそれは、どんどんと大きな塊となって僕を押し潰そうとした。
が、僕には聞く度胸が無かった。
勇気が無かった。
「今日もあそこに行くの?」
僕は聞いた。不安を拭うように、平常を装うために。
あそこと言うのはミサに連れて行ってもらった、ちょっとした森の中。そこは光がよく差し込み、小動物が駆け周るという素晴らしい場所。まるでファンタジー世界そのもの。
日本に、ましてこんな近くにこんな場所があったのか!
と、ビックリしたのを覚えている。
「ええ!!」
ミサはいつもの笑顔で答える。しかし、僕の言葉を拒否の言葉と受け取ったのか、みるみるうちに顔を歪ませていった。
「それとも……悠木さんは嫌?」
今にも泣きそうな顔になった。
僕は慌てた。そして後悔した。拒否の言葉を言ったつもりは無かったけれども少なくてもミサはそう受け取ったみたいだった。
どんな形であれミサを悲しませたりしたく無かったから僕は。
「そんなこと無いよ僕もあの場所好きだしさ」
そう言って笑顔を見せた。
僕には他にどうしたらいいのかわからかったので、そうするのが精一杯だった。
「良かった〜嫌って言われたらどうしようかと思っちゃった」
ころっと表情を変えて笑顔で言った。
どうやら機嫌を直してくれたようだ。
いや、もしかしたら元々機嫌を損なった訳でも無いかも知れない。
だけど、僕はほっと一安心した。
もう一緒にいると楽しいという範疇をとっくに越えてるかも知れない。そう思いながら。
「どうしたの??」
不思議そうな顔をしてミサが聞いてくる。
「いや、なんでもないよ!」
僕は慌てて言う。
どうやら僕は又長い間考え込んでいたようだった。
「じゃ。行こうか!」
「ええ!」
そんな僕をさして気にしてないようで、ミサは元気にそう言った。
そうして僕らはいつもの二人の遊び場である『森』に行った。