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第1章
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リオガジェゴス〜アルヘンティーノ

街道沿いの街、リオガジェゴスに着いたのはお昼過ぎだった。まずは街で馬車の予約を済ませる。

アルヘンティーノまでは、早馬の馬車で金貨1枚で4日

通常の乗り合いだと銀貨4枚で6日らしい。

少しでも早い方がいいので金貨1枚支払い明日の朝一でお願いした。

宿は一泊銀貨5枚と少し割高だが、マウリシオさんが用意したお金はたっぷりあったのでここで決めた。


あとは4日かかる行程の中での携行食料とモンスターに襲撃されても回復魔法が使えるので傷薬はいらないが魔力を回復させるエーテルドリンクを買う。

それらを収納魔法に押し込む。


――翌日――


街の入口で馬車に乗り込む。

先に女性が1人乗っていた。

どうやら客は自分を含めて2人だけらしい。

御者と護衛の兵士と4人でアルヘンティーノまで行くようだ。


襲撃もなく2日間は街道沿いの小屋に泊まった。


ウスアイアとアルヘンティーノとの取り決めで街道沿いには、共同で出資した寝泊まり出来る小屋を一定の間隔でいくつか設置している。

街道の往来を円滑に安全にする為の処置だ。


そして3日目の夜の小屋で襲撃に遭う。


襲撃といってもモンスターではなく、人間で盗賊のようだ。

もちろんホークの敵ではなくあっさりと捕まえたが、おいしい情報を得られた。


アルヘンティーノでは、税と物価が急に上がり生活が苦しくなっているようだった。

困窮した一部の市民らはやむを得ず盗賊まがいの行いをする者が出ているそうだ。

この賊をアルヘンティーノでは捕まえるどころか無視しているようだ。治安がかなり悪くなっている証拠だ。


税と物価が上がり始めたのはここ1ヶ月のようで、国王が病で倒れ国政から一旦離れているうちに悪化したようだ。

現在は内務卿と王妃が国政を握っているらしい。


どうやらこの2人が怪しいようだ。


翌日、馬車は首都ロカの入口まで来た。

一緒に乗ってきた女性とは軽く会釈をして別れた。


この街の人口は約10万人と大都市である。とても強い対外用の軍隊と、主に王と国民を護る騎士団の2つの

がある。

アルヘンティーノは近隣と争いに勝ち大きくなった歴史を持つ。その為、国内でも首都のロカに住む純アルヘンティーノ人と戦に負け取り込まれた国民とは身分に大きな違いがあり、尚かつ奴隷も合法だ。


純アルヘンティーノ人は人口の1割未満で税も免除で優遇される。

かたや非アルヘンティーノ人には高い税と10年間の兵役の義務が課せられる。

非アルヘンティーノ人は他国への戦争の際に活躍すると準国民として一段身分が上がり兵役も半分になり納税額も軽減される。つまり

この国にいるには、戦争に勝って自分で身分を勝ちとならないといけない。


街は一見するとよく整備されていて、石畳みの大きな通りがありヨーロッパの旧市街のような街並みだ。

そんな大通りから一本脇に入ると、下町の雰囲気になる。そしてさらに2本も奥に入ると一気にスラム街になっていく。


スラム街には非アルヘンティーノ人しかいない。他国に攻め入って連れて帰ってきた奴隷の末裔達だ。

念の為、事前にロカのギルドにお金を預けてきた。

銀貨と銅貨を多めに持ってきた。


マウリシオはあまり良い顔をしなかったが、ホークははスラム街や下町を中心に調べるつもりでいた。


宿も下町の中程度の所に1週間分前払いで確保し、

まずは宿のスタッフに近場の酒場を教えてもらった。

情報は酒場で手に入れるのが一番手っ取り早い。


酒場のカウンターでマスターに少し多めにお金を払ってこの街の事を聞いてみる。


「最近はとくに治安が悪くなって騎士団もなかなか来てくれなくなったんだよ。とくにスラム街には近づかない方がいい。ただの盗みだけじゃなく強盗が多い。」


やっぱり治安が悪くなっているようだ。

いきなり沢山聞くと怪しまれるので、今日は何杯か飲んで酒場を後にして宿に戻った。


宿の入り口に馬車で一緒だった女性がいた。

こっちをチラッと見たが上の部屋に登っていってしまった。たしか名前がリリーとか言ってたっけ。


少し気にはなったが、今夜は移動の疲れもあったし酒のおかげでぐっすり眠れた。


-翌日ー


街では、朝から騒然としていた。

なかなか来ないと言ってた騎士団が大挙して下町エリアにやってきた。

理由は分からないがどうやら誰かを探しているらしい。


スラム街と下町の間で町民と若い兵士たちが揉めていた。

「どうされたんですか?」

「なんだ貴様?ここら辺じゃ見ない顔だな。怪しいな?」

おいおいいきなりかよ。


「私は南のウスアイアのエルダー商会の者です。この街には納品で来てました、これが商会の身分証です。」

もちろんこの為に用意した身分証だ。


「エルダー商会?あぁ、あの南部の田舎者か。

何々、エルダー商会外商部門長のホーク?部門長って事はそれなりの地位だって事か?」


「はい、とりあえず部下を50人ほど取り纏めています。」


「ほう、田舎の商会とはいえ若いのに大したモノだ。しかしその貴様がなぜこんな所にいる?」


「いえいえ、騒がしかったので何事かと。まぁそうカッカしなくても…。」


そういって兵士に金貨を1枚握らせた。


「ん?これは?まぁ、そういう事なら、少しだけ教えてやろう。」

途端に態度を変え好意的になる。どうやら下っ端の兵士のようで金貨は予想外の小遣いになった様だ。


「はい、ありがとうございます。商人は情報が何よりですから。」

「実はな…。」


どうやら、病の王の代わりに内政をしていた内務卿が昨夜、何者かに暗殺され

王妃は身の危険を感じ犯人を血眼になって探しているらしい。

犯人は暗殺した後にどうやらケガをして下町かスラム街に逃げたようだった。


暗殺とは大胆な。どうやら俺らの他にもこの国をよく思ってない奴等がいるってことか…。


その日の夕方に宿の入り口でまたリリーさんとすれ違う。

その時に咳き込んで脇腹を抑えていた。

脇腹がうっすら赤くなっていたのをホークは見逃さなかった。


もしかして暗殺者はリリーさんなのか?


その後、大雨の夜中に宿を出て行く人影があった。

やはりリリーさんだった。


ホークはマウリシオにお願いして用意してもらったレア防具の「宵のマント」で気配を消して後をつけた。

宵のマントは完全に姿を消せるものでは無いが夜の闇に溶け込み気配を大幅に減らせる防具だ。

とくに今夜は雨で足跡も残しづらい。


かなりの速度で建物つたいに屋根まで登り屋根の上を駆けていく。

その先には王宮があった。









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