3-3 自己嫌悪する朝
――なんだこれ。
翌朝ベッドで目覚めた大悟は、生気が吸い取られてしまったかのようにぐったりとしていた。
(お、おれ、なんつー夢を見ちまったんだ……)
頭を抱えて悶え苦しんだところで、自分が見てしまった夢の内容が変わるわけでも、その事実を忘れられるわけでもない。
しかも何が腹立つかと言えば、夢の中の自分があの状況を受け入れつつあったという点だ。
(ま、まさか俺は心の奥でそうなるのを望んでいるっていうのか……)
心に重くのしかかってくるたった一つの事実。
(いやいやいや、だからあいつは男だって言ってるだろーが)
いっそのことどんな夢を見たか忘れてくれればよかったのに、と思うのだが、こういう夢に限って、脳裏に鮮明に焼き付いているものだから質が悪い。
窓の外はそんな大悟をあざけり笑うかのように晴れ渡っている。
もうすぐ五月であり、とっくに桜は散り落ちている。
高校生活最初のゴールデンウィークもすぐそこまで迫っている。果たして大悟はどのように過ごすのか。それは自分でもまったく想像できなかった。
いや、最近は未来を想像するような暇さえない生活が続いていたというほうが正しいのかもしれない。




