1-1 六宮大悟の思い
第一章 夢の中での再会
入試の帰り道での出会い。
はたしてそれはバラ色の学園生活の始まりだったのか、それとも悪夢の学園生活の始まりだったのか。その答えはきっといつまで経ってもわからないと思う。
ただ一つ言えることは、その出会いは悪い意味でも、いい意味でも間違いなく俺にとって運命の出会いだったということだ。
少し大げさな表現な気がしないでもないけど、きっとそれは間違いない……。今にして思えば、なんだか認めるのは悔しいし、癪な気分だけど……。
だけどその甘酸っぱくも、淡い恋は、彼女――ここでは敢えて彼女と表現する――の衝撃の事実を知ったときに、校庭に咲いていた桜とともに儚く散ったのだった。
その少女は天使のように可愛らしい顔立ちをしていたが、その正体はまさしく悪魔だった。いや、それは少し言い過ぎな感じもするから、小悪魔ということにしておこう。
そんなわけで、人を見た目で判断するなという格言は、後々になって身に染みるほど実感した。
しかし禁じられている果実にこそ、手を伸ばしてみたくなるのは、人間という生物に課せられた宿命みたいなものなのだろう。
だからこそ心のどこかで、その恋をどうしても諦められない俺がいて……。