No.41 困ったことに
出されたお題を元に、一週間で書き上げてみよう企画第四十一弾!
今回のお題は「舟」「寝坊」「駅」
6/1 お題出される
6/3 最初のプロット完成。が、落ちが見えず書き直す
6/4 次のプロップが完成。書き始める
6/6 が、思ったより長編に成りそうなのでなんとか試行錯誤
6/7 もーどーにでもなーれー(自棄)
6/8 ひどい結果だ……
大丈夫、ここ最近遠出はしてない。最後のはネタとして引っ張ってきただけだから!
俺の名は夢野 魁人とある特殊体質に悩まされ
「ちょっと待ったぁぁぁあああ!」
それはすこし肌寒い梅雨の夜の事だった。
ワタクシは何時ものようにパソコンに思いついているプロップで書き進めている時の事だ。
「おい、そこ、だからプロップじゃねぇ、プロットだ」
……あ、うん。
何時ものようにパソコンに思いついているプロットで書き進めて
「んー、文章として綺麗じゃないな。書き直した方が良いと思うぞ」
……
「なに?」
いや、君誰よ。
「何を隠そう! いや、何を隠すことも有ろうか! ワタクシこそ! ワタクシたちこそ! おまえだ!」
……えー、夢野くんの特異体質は、っとぉ……
「あ、ちょ、ギャグまで入れたのに! ツッコミの一つぐらいだね……」
……あー、なんでやん。はい、んじゃ、もういいね。
「そのツッコミこそなんでやねん! 『ネタが古いわ』とか色々あるだろうになんでそこで棒読みなんだよぉぉ!」
ええい、やかましい! 考えてたプロットがどう考えても長編向きで挫折した末の日曜の夜なんだよ! 時間無いの!
「で、何度目かの脳内会議、というわけだね。『噺買』の話を二種連続でやるよりかはいいか。でも、このネタも飽きずに使いまわすよねぇ~」
う……
そう、ワタクシは、ネタを貯蔵しておくタイプの人間だ。そして、思いついて練ることに時間をかけるのを楽しんで時間をかけるタイプだ。つまり、そうポンポンとネタが出てくるタイプではない。だからこその訓練で一週間チャレンジを書いているのだが……そういや、年々浮かぶアイディアに斬新さが無くなってきている気がする……
「歳だね。つむじ周りの髪の毛気にしてたし」
やかましい! ってか止めてくださいお願いします!
「ずばり、身を切って自らをネタにコメディのネタにする系アマチュア物書き」
そ、そうだ、こんなに構ってないで書かねば……えーと、今回の『脳内会議』は……って違う!
「前回はよく似た作家の背後で妖精が踊ってるやつだっけ?」
踊ってない! 作家の背後で作家の書き途中の作品を体で再現だ!
「どっちも変わんないって。更に前の『脳内会議』はそのまんま作成の際のすったもんだをそのまま書いたもんね。今回もそれ?」
適当な賄い料理みたいに言うな。これでもそれなりに気を使ってだね……
「ツイッター見ながら?」
うっ……
「ブラウザゲームに浮気しながら?」
ぐっ……
「更には首を寝違えて半日寝込みながら?」
そ、そこは許してよ。
「んー、ちなみに、もし『噺買』にするなら、どんな話にするプロットだったの?」
ん?
書きかけをコピペして持ってこようか? んーとだね……
主人公、夢野 魁人は『噺買』である。それは、見聞きしたことを彼の意志とは関係なく、追体験してしまうというものだ。それが都市伝説や怪談、嘘の話であろうとも……
そう、これは、夢野 魁人が、バリ小さいおっさんの噺を買う数日前の物語で
「だぁー! うっせぇ!」
……夢野 魁人は短気な男だった。自分の行動にナレーションが付くという噺をいつの間にか買って居た為、今こうして私が彼の実況を
「頼んでないから! むしろうるさいから!」
「ところで、これ、お題はどう出すつもりなの?」
え、ちょ、すんごい割り込んできたね。
あまりにナレーションがうるさくて翌朝『寝坊』……
「ふむふむ」
舟は……ばーちゃんを今一度風呂に
「二番煎じかよ」
え、駅は……どうしよう?
「聞くな、自力で考えろ。あ、はい、もういいです」
え、ちょ、ひどい! こっちとら夜食を絶ってまで……
「普段から夜食喰わないだろ? ってか、夜食なんぞ食べるから脂肪になるんだよ。しかも定期的に食べないのが余計に悪い」
よし、じゃ、夜食を定期的に食べに行って
「いや、書かんかい、はよ」
お前がちょっかい出してきてるからだろうが!
「というか、もう少しまともな話の設定とかないの? もう少し濃厚な設定という奴をですな……」
んー、噺買の前に書いてたプロット、というか書きかけのが……
「え? それの続き書けば良くね?」
……書き出しに、世界観の説明を長々しなきゃならんタイプだったねん……
「あ、察しましたハイ」
えーと……あ、これだこれだ。
この世界は遥かな昔から、7種類の人類が居ると言われている。俺たち、何の“恩寵”も持たない霊長類からの進化をした人類、『ヒュプノ』以外は、みな特殊な“恩寵”を持っている。
60年前になるらしいが、人類を現す『ヒュプノ』は、元は二つの種族を表す言葉だったらしい。そのころ人類は2種類しか居なかったから、この二つを統合して呼ぶ必要が無かったのだと思う。その二種類とは、『ヒューマン』と『グランディア』、昔の言葉で言うなら『人間』と『亜人』。動物のような身体的特徴をもった半獣人。彼ら『グランディア』は魔術と呼ばれる物を扱え『ヒューマン』を従属させていたらしい。そんな状態を変えるために60年前、6英雄と呼ばれる人々が『ヒューマン』の解放を謡い、『グランディア』へ戦いを挑み、これに勝利した。その結果、『ヒューマン』が従属することは無い……と思われた。
だが、その戦いの最中、6英雄の一人、召喚師オパールは“異界その物”を召喚。この世界は更なる混沌へとなだれ込む。『ヒューマン』も『グランディア』も関係なく、新たに異界より侵攻してきた6種族の人類……いや、悪魔たちにより、『ヒューマン』も『グランディア』も『ヒュプノ』と命名、統合され、6英雄の活躍虚しく『ヒューマン』にとっては圧政者が変わっただけの事……いや、もっと悪くなった。すくなくとも、俺の居るこの都市に置いては……
俺が居る都市に新たな支配者としてやってきたのは『エクスマキナ』と呼ばれる、体が金属でできた機械生命体のような人類だ。
……誰が呼んだのか、異界からの新人類は悪魔と称されている。『グランディア』の扱う魔術が、小隊を焼くほどの炎を出せるなら、彼ら悪魔の使う魔術は
「えらい目がすべるんやけど」
う、うん……
「ってか、これってテイルズオブり」
やめろ! 頼むからよせ! よすんだ!
「そもそも、この“恩寵”ってのは?」
あ、書き忘れてる。
「おい」
いや、一応、それぞれの悪魔の種族特徴的なのを、彼らが自らの人外っぷりを揶揄して“恩寵”と……というか、これ、絶賛止まってる『死は君たちを逃がさない』のシェアワールドの世界線の一つの設定なんだよ。
世界線と時代が違って、具体的には『死は君たちを逃がさない』に出てくる“人の想像力を糧に空想を現実にしてしまう物質”が悪い方向に作用した結果が“悪魔”なわけで、実は“悪魔”たちも本来の姿は人間だった。しかし、それぞれが人外の姿を取り人外の生活をするうちに、心まで人外に成り果ててしまった。という裏設定が……
「へー、そいつはすごいねー」
聞いておいて聞く気が無いな、君は。
「だってぇ~、あの作品、かれこれ数か月止まってるぜ?」
ぐふっ!
「先の展開も読めてる上に脳内では何度か書き直しされるほど練ってるくせに」
げぶふ!
「ある程度脳内で書いてたら、サブタイトルの『僕の62日間』の62日をどう埋めたらいいのか解らなくなって頭抱えてるのに、ある程度かけた気でその先書こうとしないし」
そげぶ!
「ってかはよ書け」
君が邪魔するからだろうが! ってかどっちをだよ!
「どっちもだろうが、阿呆」
あ……はい。頑張ります……
「というか、最初はもっと別のプロットで書いてなかった?」
え? ああ、うん、一応……
「そのプロットでは書かんの?」
んーと……設定を書き連ねるだけでいけそうな気がするんだけど……
生者と死者の間、黄泉の国への渡し舟を待つ途中駅が有る。
現世に未練を残してはいないが、死んで地獄に行くのは嫌。そういう連中が集まる駅が有る。
ピンク色の綿菓子のような雲と薄い紫の空、霞掛かった甘い色が気だるげに色付けする死者の世界の端の端。
語り手、春矢 与一は駅でうたた寝をしている最中、気が付けばここに居た。どうやら、列車事故に巻き込まれたらしい。
そこで出会うのは、彼と同じく死ぬに死ねないが死を甘受した者たち。
だが彼らと話すうちに、自分たちもまだ未練を残している、そんな気がして、渡し舟の先導になんとか現世に帰れないか交渉をしてみる。
まぁ、死んでも蘇れませんわな。
「……」
という、悲しみいっぱいの設定をコミカルに描こうと思ったんだけど……なんだか救いが見えなくてねぇ……
「……言語」
ん?
「そこは肉体言語で交渉するんや! マッスルネゴシエイション!」
いや、あの……
「なんと、死んだことにより能力に目覚めていたのだ!」
え? え?
「前世で超人だったために、死にかけることで特殊な能力を引き継ぐことができ、その能力で船頭との超絶異界異能バトルを……」
うん、しないよ。
「……超絶異界異能バトルを」
しないから。
「超絶異界、異能、バトルを……」
しません。ってか、それ気に入ったのね。
「うん、今書いてて思いついた」
……メモしとこう!
「OK、メモメモ……」
で、何してたんだっけ?
「そりゃおめぇ……三題をこなそうとしてるんじゃないか。なぁ?」
「うんうん。で、もう埋まったと思うぞ」
「え? いつ?」
「それよりお腹すきました。からあげたべたい」
「からあげにはマヨを付けるなよ! 御酢でいい!」
「御酢!? かけすぎるとどう考えても食べれないよ」
「ってか、なんでメシテロしてるんですか」
「お、食べれそうにない飯によるテロと、お腹がすくメシテロ、なるほどなぁ」
「いや、狙ってないし狙う気なかったしというか」
「はよ書きなさい。駄文書いてないで」
いや、君らが描かせてるんだろうが! そもそも、なんで君ら増えてるんですか?
と聞くと全員……もはや何人いるか解らん……それらが一斉に答える。
「何を今更」
そういや、全員ワタクシでした。ここ、ワタクシの脳内会議でした。
ところで、三題を全部熟した、というのは?
「……おい、試しに言ってみたのに食いついたけど、だれか解説できるか?」
「無理」
「他所へどうぞ」
「諦メロン!」
「アキラさん、メロンください!」
「生ハムメロンが食べたいです!」
ええい! よせ、もうこれ以上カオスはいらん! チープで詰まらんギャグも要らん! はよ言わんかい!
「えぇー」
そこをなんとか。
「じゃあ説明しよう」
「折れるの早」
と、ここで、一人のワタクシが淡々と言う。
「良いですかな? まず今回のお題は『駅』『舟』『寝坊』……で、駅は“それぞれここに至るまでの道すがら出してきた書きかけの者ども”だ。……いささか暴論? いやいや、今こうしてここまで読んでいる、すなわち、こんな駄文を必死にここまで、こんな駄文の川下りだか激流下りだか汚濁の流れだかを、我々という“夜行の脳内の声”という見えない船頭によってここまで運ばれてきた。いわば、読み進めている、これ自体が一種の船旅と」
いや、無理やりすぎるやろ。
「仕方ないじゃないか。我々、舟に乗る様な機会がここ最近あったか?」
え? なに? それがどう関係してるの?
「駅はなんとかなった。うん。寝坊も何とかなった。しかし、舟が困った。結果煮詰まって、何時だかのように、またこうして“夜行脳内会議”が開かれてしまった」
ん? 今のここまで『寝坊』は出て来た? まだだよね?
「それはね……この話の落ちだよ」
へ? ……なんだ? 鼻がむずむず……へっくしょい!!
大阪府、とある電車の駅のホーム。くしゃみと共にワタクシは起きた。とある友人との遊び、飲み会に参加し揚句オールという暴挙に及んだ翌日、ワタクシは駅のホームで自身が乗る電車を待つ間、眠ってしまったらしい。みるともはや目的の電車は逃しており、今晩の宿をなんとか探す他にはようだ。
梅雨時期の夜はとてもよく冷える。本来の目的であればもう家路についているはずだったので、防寒具など持っていない。なるほど、鼻の頭が冷たく冷え込んでいる。
仕方なく、ワタクシは先ほどまで飲んでいた友人宅に泊めてもらう交渉をし、駅のホームを後にした。
そして一言。
「寝坊ってこれかよ!」
お粗末……
ま
大阪には遊びに行ったがね……(書けこの野郎
そんなわけで脳内会議、かれこれ形を毎回変えながら、今回は三度目となりました
うん……煮詰まっちゃったのよ……
作中にも書きましたが、約三種のプロットを経ております。
最初が
実は最後に取り出してきた『生者と死者の間の駅』の話
しかし、述べたとおり……落ちが見えない。見えててもどう見てもハッピーには終わりっこない……
あ、ちなみに、ここは日本なので、死者はすべからく日本の地獄へまず落ちます(某冷徹から仕入れた知識
次に浮かんだのが
『機械の体を持った“悪魔”が支配する都市で、彼らの“消耗品として”暮らす少年の話』
これは世界観設定の説明が長い上に、世界観の説明も多く必要になり、更には書いてたら余裕で2万に達しそうだったのでやめました。とてもじゃないですが間に合わない、間に合わせようとしたら体力がもたない、見直し作業が尋常じゃない
あと、既に造ってある(くせにただ今休眠中)のシェアワールドの一部なので、力が入りすぎた、というのも有りますね
で
『噺買』も少し考えましたが、いや、二週連続で、しかも前回がああいった終わりなのにどうなんだ……となったため
今回も夜行脳内会議となりました
ちなみに『噺買』の内容が『勝手にナレーションが付く』でしたが、当初は『勝手に脳内で色々声がするようになり、気が付けば自身ととってかわれれている』という噺を出す予定でした
そう、今回の脳内会議の元ネタですね
というわけで、“せっかく体を盗れたのですこし遊んでまいります”……
ここまでお読みいただき ありがとうございました