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プロローグ
君って、どんな人?
あんなに長い時間そばにいたはずなのに、
あの街にいただれよりも知っていたはずなのに、
こうして、記憶をたどるけど、君の心からはいつだって、なんにも見えないんだ。
あのときもあのときも、確かに私の青春のページには、必ず岩谷がそばにいた。
それでも、皆が確かにそこにいて、はしゃいで、でもそのとき……岩谷がどんな顔で笑っていたのかを思う時は、霞がかったようにぼんやりと、とたんにその輪郭があやふやになる。
岩谷にこの街はどう見えていたんだろう。
ねえ、岩谷。
……どうして君は、ずっと私のそばにいたの?