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short stories

ずっと、三人で

作者: 灰色

「生きてるか!?」「入るよっ!」


ばたん、と音を立てていつもの二人が病室になだれ込んできた。


「大丈夫、生きてるよ」


読んでいた本を閉じて、二人に笑って見せる。

それを見て、あきれたような安堵したような、変な表情になっている二人。


私はどうやら、車に撥ねられたらしい。

幸い軽傷で済んだけれど一応とのことで、検査のため入院中のところに、心配した友人たちがやってきたというわけ。

車の運転手には本気で謝られて正直困ったけれど、軽傷だし許した。

眠い時はガムとか噛むといいですよ、とだけアドバイスして。


「ね、二人とも」

「…何?」


「私があの時、あの交差点にいたのはね…」


はい、ちょっとだけ早いけど、クリスマスプレゼント。

傍らの紙袋から水色の包装紙に包まれた小物を取り出して、差し出す。


「髪留めだ、かわいい…」彼女には、淡いブルーの繊細な髪飾り。

「俺のは、ペンダントか」彼には、狼の牙のシンプルなデザインのペンダント。


「これを買いに行ってたの。ごめんね、心配かけて」


顔を見合わせる二人。

照れくさそうに彼女が差し出したのは、水色の私と柄の違う包装紙に包まれたもの。


「あんたが事故にあったって聞いてね、二人で買ってきたの」


そっと開けると、出てきたのは深く鮮やかな青い羽がついたストラップ。


「幸運のお守りなんだって。ちょっと早いけどクリスマスプレゼント」

「そういうことでな。早く治して、今度は一緒に何かそろいで買おうぜ」


「…ありがとう」


三人ともに咲いた笑みは、病室の中に早すぎる春が来たかのように暖かだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 最初の「生きてるか!」「入るよ!」のセリフが冗談っぽく、三人の仲良さが感じられました。
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