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ある日のことです。
とつぜん、妹姫が女王を宮殿に閉じ込め誰も入れなくしてしまいました。
人々はみな困りました。
人々は食べるものが欲しいのに女王がいないのです。
人々は寒さに凍えないようにしたいのに女王がいないのです。
人々は妹姫に女王様を返してくださいとお願いしました。
人々は妹姫に女王様を返してほしいと泣きました。
人々は妹姫に女王様を返せと怒りました。
けれど妹姫は静かに目を伏せるだけでした。
とても困った人々は、宮殿の扉の前から動かない妹姫に言いました。
「どうして女王様を閉じ込めるのです?」
すると妹姫は人々を見て言いました。
「閉じ込めているのではありません」
妹姫は悲しそうに首を横に振りました。
「冷たい妹姫は美しい女王様に嫉妬しているんだ」
人々は妹姫をののしりました。
「氷のような妹姫は賢い女王様を嫌っているんだ」
誰もが妹姫にたくさんのひどい言葉を投げつけました。
それでも妹姫は宮殿の扉を見て悲しそうに首を横に振るだけでした。




