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遠い遠い昔のこと。
とても綺麗な宮殿に、とても美しい女王が住んでいました。
女王はとても賢くて、とても優しい人でした。
女王は人々の話をいつも笑顔で聞いてくれました。
人々の力になろうといつでも手を差し伸べてくれました。
きらきら流れる長い髪は黄金の色。
優しく笑う瞳も黄金の色。
優しく美しい女王を、誰もがみんな大好きでした。
きらきらあたたかい女王を、誰もがみんな大好きでした。
女王にはひとりの妹がいました。
にこにこ笑う優しい女王とは違い、妹姫はあまり笑いませんでした。
妹姫はひどいこともしませんが、人々に手を差し伸べることもしませんでした。
女王とは違い、妹姫は冷たく透きとおるような銀色の髪をしていました。
女王とは違い、妹姫は氷のように凍えるような銀の瞳を持っていました。
誰にも笑わない妹姫を、誰もがみんな不気味に思いました。
氷のように冷たく静かな妹姫を、誰もがみんな不気味に思いました。




