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素振り代わりに雑魚狩りしてた俺、美少女配信者をうっかり助けて死ぬほどバズる  作者: 斧名田マニマニ


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5/9

クラスの勘違い連中を完全論破

「ちょ、ちょっと待ってよサーニャちゃん! そんなに怒らなくても……! ほら、今のは冗談だって~!」


必死に取り繕う渦原。

彼は花園サナの大ファンだった。

嫌われたくない一心で、汗をだらだら流している。


けれど、花園サナの目は冷たい。


「『底辺でもボスを倒せるお助け武器』って言った? そんなものがあるなら、君たちみたいに努力を笑う人でも、少しは役に立てるかもね」

「いや、あれは、そのぉ……」

「武器を開発できたら、ぜひ父の会社に持ってきてください。大金で買い取って、第一号を君たちに支給しますから」


彼女の声は静かなのに、教室の空気を一瞬で支配する。

渦原たちは顔を真っ赤にして、いそいそと席へ引き返していった。


「すげぇ……サーニャちゃん、あの渦原たちに真正面から……」

「人気者なのに、あそこまで言うって相当だぞ」

「それだけ本気で怒ったってことだろ……」


そんな声が周囲から上がる。


俺は思わず息を呑んだ。

もしこれで彼女が叩かれたらと思うと、胸が締めつけられた。

……止めるべきだったのかもしれない。


そう思ったとき、花園サナがふっと柔らかく笑った。


「ごめんね、古津川くん。余計なことして。……でもね、君を笑う人たちが、許せなかったの」


その言葉が胸にささる。

彼女が怒った理由が、俺のためだったなんて。


心の奥で、何かがほどけるような気がした。

いつも一人だったのに、今は違う。

……味方がいるって、こんなに心強いのか。


教室の空気が一変したのも、この瞬間だった。

さっきまで笑っていたクラスメイトたちが、静まり返っている。

誰かが小さく呟いた。


「……どう考えても、サーニャちゃんが正しいよな」


それを皮切りに、あちこちから声が上がる。


「渦原たち、さすがに言い過ぎだったよ」

「あれは怒られて当然だって。見ててムカついたもん」

「古津川、マジですげぇわ。あの場で黙ってるの、かっこよかった」

「それが渦原たちみたいな小物と、実力者の違いなんだろうな」


完全に形勢逆転。

孤立した渦原たちは顔を真っ青にして縮こまっている。

教室の温度が、まるでひっくり返ったみたいだ。


そんな中、花園サナがそっと視線を落とし、指先をいじりながら言った。


「ねえ……古津川くんと二人きりで、話したいことがあるの。今、少しいいかな?」


渦原たちを圧倒していたのが嘘みたいに、その声は小さい。


「私はここでもいいけど……君が嫌かなって」


花園サナの頬はほんのり赤い。

さっきまでの迫力なんてどこにもない。

これが同じ人間なのかと思うくらい、雰囲気が違った。


「え……かわいすぎる……」


教室のどこからそんな声が複数上がる。

たしかにそれには俺も同意だ。


「だめ……?」


尋ねながら、ちらっと俺の顔をうかがう。


教室中の視線が一斉に集まるのを俺は感じた。

興味津々で身を乗り出すクラスメイトたち。


「……廊下で話そう」


耐えきれず、俺は顔を赤くして立ち上がった。


「うわあ、二人きり!?」

「古津川やば! 人生逆転じゃん!」

「助けたうえに呼び出されるとか、マンガかよ!」


背後で大騒ぎする声を聞きながら、俺と花園サナは教室を抜け出した。

扉を閉めると、世界が一気に静かになる。


「ごめん、みんな騒がしくて」

「ふふ、気にしてないよ」


彼女ははにかみながら微笑んだあと、コホンと咳払いして真剣な顔になった。


「古津川くん、ずっと低層で狩りをしてたんだよね?」

「え、なんで知って……」

「調べちゃった」


さらりと告げられて、思わず言葉を失う。


「そんな努力、誰にでもできることじゃないよ。君なら深層を目指せると思う」

「いや、さすがに深層は……。モンスターの平均レベル200超えだよ? S級探索者でも全滅するのに」

「うん。でも、君ならいけるよ」


まっすぐな瞳。

冗談じゃなく、本気でそう思っている目だった。

うやむやにして誤魔化すのは失礼だと感じた。


「ありがとう。そう言ってもらえてうれしいよ。俺も、キングオーク亜種を討伐できたことで、少しは自信がついたから、次はもう少し下まで潜ってみようと思ってたんだ」


花園サナの顔がぱっと輝いた。


「よかった!」


ん?

よかった、とは?


花園サナは一拍おいて、少しだけ表情を引き締めた。


「実はね……父が、君に直接会いたいって。今日の放課後、時間あるかな?」

「えっ……?」


思考が一瞬で真っ白になる。

聞き間違いじゃないよな?


花園サナの父。

ダンジョン管理を担う超大企業フラワーカンパニーの社長。

政治家や芸能人ですら頭を下げる時の人。

ニュース番組の経済コーナーではほぼ毎週見かけるし、SNSのフォロワーは数百万人。

新装備の発表ひとつで業界が動く、そんな怪物みたいな人物だ。


……そんな大物が、俺になんの用なんだ?

※カクヨムで十数話分を先行公開しています

続きが気になると思っていただけましたら、そちらもどうぞご活用ください~!

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