二蹴 貴央先生とシノブ
「貴央先生えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼ シノブを連れてきたんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」
「えへへー、よろしくお願いします貴央先生」
「おお、シノブ。いやあ、お前との絡みは何か久し振りだな」
「ええ、そうですね。貴央先生は主にサクマヒメちゃんや幻野くんと絡んでますもんね」
「ああ、書いてる内にそういう方向性になっていってな。いやしかし、幻野新参編で顧問という新設定も生えたからな。これからお前らとも自然と絡みやすくなった」
「いやあ、ホント私と絡むの久し振りですよねえ。てかもうほぼ初ですよね」
「確か初登場時はお前との漫才からだったがな」
「天久鷹央にハマってパロディキャラ速攻出したんですよねえ」
シノブと貴央先生は適当に話しながら、中へ入っていく。空久宅へ。そう、貴央先生は家を買ったのだ。幻野くんを養うために。中には幻野くんとハーハラ、サツマヒメがいた。無駄に広い一軒家ゆえに、人がいた方が落ち着くところもある。それゆえ彼らの溜まり場のようになっている。
「うわあああああああああああああああああああああ、これが貴央先生の家かああああああああああああああああああああああああああ」
「ああ、可愛いだろ!」
「いや、可愛くは」
「乙女の家だぞ!」
「乙女?」
「帰れ!」
「さすが乙女の家! めちゃくちゃ可愛いですね!」
「いやあ、私もまあ美人女教師だからなあ。顧問だし」
貴央先生は小さな胸を張る。少し可愛い。
「おお、シノブじゃないか!」
「サツマヒメさん! お久し振りです!」
「おいおい、ずっと一緒に練習してたろ」
「すみません、記憶が断絶していて」
「ヤバいな、大丈夫か」
「はい、多分ここの登場人物は大体みんなこんな感じなので」
「言われてみればワシもお前のことよく分からなくなってきた」
「みんなで桃鉄でもやるか」
「いいですねー」
シノブは貴央先生達と桃鉄を楽しんだ。
「いやあ、シノブ可愛いなあ。キングボンビー出たら泣くんだもんなあ」
「だってえ、私の独占が次々と」
「そういうゲームだからな」
シノブは思い出してまた泣く。シノブは涙脆いというよりも、少し子供っぽい面がある。そういうポジションは貴央先生やサクマヒメのはずだったが、まあキャラは流動的であり相対的なのだ。
「さて、夜も更けてきたし、夏休み恒例。怖い話やるか」
「ひい⁉」
「いや、まだ何も言ってない」
「分かってますよ、ちょっとチビっただけですよ!」
「チビるな。で、ええと怖い話なんだが、改めて話すとなると難しいな。あれって生首が」
「ひい⁉」
「後ろに死んだはずの」
「ひい⁉」
「昔飼っていた犬が」
「ひい⁉」
「いや、シノブ。お前の布団もうびしょびしょじゃないか。どんだけ怖いんだよ」
「汗です!」
「いや、汗だとしてもビビりすぎだろ」
「違います、暑いんです!」
「まあそれも人の家であまり言わない方がいいがな。冷房の温度下げるか?」
「やめて下さい! 冷えるとおしっこ止まらなくなるんで!」
「やっぱ寒いんじゃないか! やっぱおしっこじゃないか!」
「そうです、サッカーの神様はおしっこの神様なんです! ドリブルの名手はガクブルの名手なんです!」
「微妙に上手いこと言うな!」
「サクマヒメちゃん、助けて!」
シノブは寝ていたサクマヒメを拾い上げ、強く抱き締める。
「それはサツマヒメだ」
「サツマヒメさん、助けて!」
「どっちでもいいのか」
「サクマヒメちゃん、ドランゴ!」
シノブはサツマヒメ、サクマヒメ、ドランゴを自身の周りに集める。
「いや、主人が出掛けたから寂しくて家の人形を咥えて集める飼い猫か!」
「幻野くん! 私の肛門を親指で押して!」
「どういう民間療法だ! 風邪を治すためにネギを尻に突っ込むみたいな!」
「お祖父ちゃんがいつもこれやってくれて」
「お祖父ちゃんどスケベか!」
「肛門ぬるぬるするんですが」
「さっき漏らしちゃったから」
「ウンコまで漏らしてたか! お漏らしの神様!」
貴央先生はビビりすぎるシノブを弄りまくるが、同時にめちゃくちゃ可愛い教え子だな、と思う。自身に妹がいたらこんな感じだっただろうな、と貴央先生は少し微笑む。