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嘘の代償  作者: イソジン
3/3

トビダシタケッカ

解決編かな?

公園に着くと辺りをキョロキョロしている大荷物を持った彼女がいた。


「かのん!」

数年ぶりぐらいの大声をだす。夜の公園には十分すぎるぐらい響いた。


「……なんでいるの。どっか行ってよ」

目を合わせることなくそう言うとまたキョロキョロする。


「本当にたけしは俺なんだ。ごめん、浮気するかどうかを試してたんだ。」

タネ明かしをする。


「嘘つかないで、じゃあここに迎えに来るってなんなの?」


「たけし垢を作ってずっと話してたのは俺なんだ……でもここ何日かは俺じゃない。とりあえずここは危ない。1回家に帰ろう?」


「証拠を見せてよ。」

ここまで言っても信じて貰えないのかと、少し落ち込んだが自分でまいた種だ。Twitterのアカウント欄を見せる。


「本当だ……」


「今日、俺に会いに行かないように仕向けたのはこの乗っ取ったやつだろ?それに急にこんな公園に呼び出すなんておかしいじゃん。」


「……」


「帰ろう。俺を許すとか許さないとか今は置いといて、ここにいるのは危ない」


「うん……」


怖さからか、状況が読み込めていないのか、震えているかのんの手をひき、家路についた。


道中はひとことも会話はなかった。



家の前まで行くとおかしなことに気がつく。

ドアが開いているのだ。


「そんなに急いでたの……?」


「かな?」

自分でも焦っていたので鍵は閉めた記憶はない。しかし開けたままで出ていくことは無いはずだ。


嫌な予感がして部屋に入ると、無数の足跡と乱雑にばらまかれた棚があった。


「……!?」

驚きのあまり無言で立っているとかのんも部屋に入ってくる。


「……これはどういうこと?」


「空き巣だ……。警察に電話しないと」


それからすぐに警察に電話をする。


10分も経たないうちに警察は到着し、部屋の中を調べる。そしてどういうことがあったか。何を取られたかを聞かれる。

アカウントの乗っ取りがあり、彼女が連れてかれそうになった話もした。


話を聞き終わると

「腕時計と財布が無くなっていたため、金目の物を狙った犯行だと思われます。もう片方の事件も頭にいれておきます。とりあえず今日は危険ですのでどこかに泊まった方がいいでしょう」と警察が言う。


近くのホテルへ泊まることになり、荷物を詰める。

かのんは元々荷物をまとめていたので横で荷造りを手伝ってくれている。


「……なんか大変なことになっちゃったね。ごめん俺のせいで」


「いや……私もあのまま公園にいたらどうなってたか分からないしお互い様だよ。」


重なった事件のせいでさっきまでのギクシャクした距離感は皮肉なことに解消されていた。


「そういえば久しぶりに名前呼んだね。手も繋いだし」

かのんは少し笑顔で言う。


「……そうだっけ?」

俺もすかさず笑顔で返した。




それから数日たち、空き巣の犯人が捕まったと警察から電話があった。


どうやら話を聞くとスマホの乗っ取りも、たけしもどきもそいつの犯行だったらしく、あの日、乗っ取っているのを気づかれたのがわかり、予定を変更して部屋に空き巣に入ったそうだ。




「見覚えありますか?」

写真を見せながら警察が言う


「どっかで見たことがあるような……」

知らない奴だったがどこかで見たことがあるような気がした。


「ねぇ…この人いつものお店の人じゃない?」

かのんにそう言われ思い出す。


男は記念やイベントの時によく行くご飯屋の店員だった。


よく行くお店だったので席を外す際スマホを持っていかないこともあったのだがその時にやられたのだろう。


事件も解決し、心機一転、家を引っ越すことにした。




「もう疑ったり試したりしないから、これからも一緒にいませんか」


「それはプロポーズ?」


「ダメかな?」


「もっとちゃんとしたのが良かったな」

かのん笑いながらそう言う。


「そういえばなんで名前たけしだったの?」


「それは……」

引きずってるなんて言えない。顔を下に向ける。


「いつまで元カレの事引きずってんの?これからも一緒にいるんでしょ?」

俺の引きつった顔を覗き込むと機嫌良さそうにそういった。





多分もう【一生】頭が上がらない気がした。



お疲れ様でした。

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