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嘘の代償  作者: イソジン
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ナリスマシ

遅くなりました。引き続きどうぞ。

[運命ですね。]

まさか返ってくるとは思わなかった返答にびっくりするあまり苦しくなるまで息をしていないのに気づいていなかった。


そこからはよく覚えていないが、彼女がお風呂から出てくる前にお酒を大量に飲み寝てしまったようだった。



「昨日なんであんなにお酒飲んだの?あんまり強くないのに」

朝起きると彼女が心配そうに水を持ってくる。

「……ん、いや」

そう返すと、よく分からない時にいつもする、ぐしゃっとした顔をしてキッチンに行く。

いつも通りだった。だから昨日のDMは夢だったんじゃないかと思いTwitterを確認する。


たけし垢のDM欄を開くと新しいメッセージが入っている。

彼女からだ。


[返信遅くなって、ごめんなさい。私の彼氏と同じことたけしさんが言うのでびっくりしてしまって……なんて返したらいいか悩んでました。これも何かの縁ですし、相談とかのって貰えますか]


なんだかよくわからなかった。わからなかったと言うよりわかりたくなかったのかもしれない。

二日酔いの脳みそには十分すぎる衝撃で、なんだが分からないまま

[いいですよ]

そう短く返した。



そこからは何もいいことなどなかった。

彼女がする相談はほとんどが俺の話だった。


[家事をやってくれるのはいいんですけど、いつも手伝うよって言うんです。私がやるのが当たり前だと思っているんですよ。]


[元気がない時とか悩んでる時に、物や食事で機嫌をとろうとするんです。本当はどうしたの?って話を聞いてくれるだけでいいのに]


など普段なんも文句を言わない彼女がこう思っていたんだと、またそれになんで気づけなかったんだと、元から無い自信が少しずつえぐれていくように感じ。でもそれを知れるのはいいことなんじゃないかと思うようになり、自ら進んで自分の悪口を聞くようになっていく。


現実ではいままでの彼女への対応が全て悪かったんじゃないかと思うようになり少しだけ距離を置くようになって行った。

距離を置いたのを感じ取ったのか。それとも、たけしに惹かれ始めたのか彼女もまた離れて行っているようだった。


いつしか俺と彼女との繋がりは、現実よりTwitterの中でのたけしを通して感じるようになった。


ある日、いつも通り連絡が来た。

[おはようございます。]


[おはよう。今日はどうしたの?]


[いや、最近彼氏と上手くいっていなくて]


[そうなんだ。原因は?]


[もうそういう感じでもないんです。何となくそうなるんです。]


[4年ですもんね。]


[たけしさんが彼氏だったら良かったのに]

時がとまった気がした。


[え?]


[あ、冗談ですよ笑。でも話は親身に聞いてくれるし、家事も得意でしたよね。いいなー]


とっさに軌道修正する。

[彼氏さんに怒られちゃいますよ。]


[そうですね笑。忘れてください]


[わかりました。]


[そのかわり、今度会ってくれませんか?]


さすがにすぐには返せなかった。

もはや浮気なんじゃないか、そう思った。

しかしこの数ヶ月で彼女との関係は一変してしまい、ここで


「たけしは俺でした」


とか


「浮気しただろ」


とか言うことはできなくなっていた。それはきっと終わりの合図なような気がしたのだ。

いくら関係が冷えきろうと死ぬまで一緒にいようと本気で思った相手だ。

こんなことで終わって欲しくなかった。自分で原因を作って置いて馬鹿なんじゃないかって思うがそれだけはしたくなかった。




数日、どうするか悩んだ結果。たけしの事は言わずに、来週の彼女の誕生日にもう一度気持ちを伝えて、彼女が言っていた所を治して頑張ろう。そう思った。


そしてたけしの垢でこう打ち込む

[それはできません。だけど今度誕生日ですよね。彼氏さんと仲直りできるといいですね。]


DMには既読はつかなかった。



当日、いつものご飯屋さんで彼女のバイト返りに待ち合わせをすることにした。


俺は心を入れ替えるため、彼女がバイトに行くのを見送ると髪を切りに行き、久しぶりにしっかりと髪をセットし、新しく出来たお花屋で花束を買い。お店で誕生日ケーキが運ばれて来るようにセッティングをした。




6時半。

お店につく。彼女はまだついていないようだった。



7時半。

彼女に送ったLINEには既読はつかない。

8時。

何回も電話をかけたが出ることは無かった。






10時になる。

その日とうとう彼女がお店に来ることは無かった。


「あの……ケーキどうしますか?」


お店の人が気まずそうに聞いてくる。


「……良かったらみなさんで食べてください。長居してすみませんでした。」


お店を後にする。


家に帰ると彼女は薄く電気をつけていつもの椅子に座っている。

「なんで今日来なかったんだ。電話もLINEもしたのに」


「……」

無言だ


「ずっと待ってたんだぞ。」


「……私行くっていった?」

ボソボソと話す。依然下を向いたままだ。


「え?」


「最近上手くいってないからって、私はそんな花束で騙されないから。」


「お前何言って……」


「家にいる時もずっとスマホばっかり、私の話なんかいつも聞いてくれない。女でもできたんでしょ?」

声が大きくなってくる。スマホをいじっていたのは彼女とたけしを使って連絡していたからだ。


「それはお前だって……」


「好きな人ができたの」

顔をあげる。


「好きな人ができたの、話だって聞いてくれるし優しくて家事だって一緒に率先してやってくれるような優しい人なの」

ああ、たけしのことだ


「……会ったことあるのかよ。」


「ないけど運命なの。わかるの、彼がどんな人だか。」


「わかってないよ!わかるはずなんかない。たけしは俺なんだ!」

つい自分の声にも熱が入るのがわかる。


「また怒鳴る。もういい。嘘ばっかり、第一なんでたけしさんのこと知ってるの?勝手に見たんでしょ?信じられないもう私出てくから。さようなら」

そういうと暗くて気づかなかったが、彼女の足下で、パンパンになった旅行バックをもちスタスタと家を出ていく。


もはや、たけしが自分だって言うことすら信じて貰えなくなっていたのだ。


追いかける気力もなく、膝からガクッと床に崩れ落ちる。


Twitterを開いてたけし垢のDMを開く。


そこには自分がした記憶もない会話があった。この数日間のものらしい。

[そうですね]


[でもまたいつものご飯屋に誘って終わりなんでしょうが……]


[え……はい、さっき誘われました。]


[やっぱり。酷いですね。別れた方がいいかもしれないですね。]


[でも仲直りしてって、さっきたけしさん言いましたよね。]


[言いました。でも……かのんさんが可哀想で]

こんな調子で今日にいたるまで、彼女に俺と別れるよう言い聞かせる内容がずっと続いていた。


「俺こんなの打ってない……こんなこと書いてない……なにこれ、どうなってんの?」


理解が出来ない。そんな中たけし垢へ彼女からDMが届く。

[別れて来ました。たけしさんもうついてますか?]


「え?たけしに会う?どういうこと???たけしがいる?」

鳥肌がたち恐怖で冷や汗が止まらない。


[着いてるよ。あとはかのんちゃんが来るだけだよ。]


[かのんちゃん?……本当にたけしさんですか?]


[あ、間違えちゃった。かのんさんだね笑。押し間違えちゃった。]


[そうですか!もう少し待っててください!]

どうやら彼女はたけしのフリをしている男に会いに行く途中なようだ。


彼女が、いやもう彼女じゃないけど。かのんが何かの怖いことに巻き込まれてる。助けに行かなきゃ。


俺は鍵も閉めずに家を飛び出し、DMに書いてあった公園まで一目散で走った。





えーと書ききれないので第3話いきまーす

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