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第8話〜超常と異世界

…………。

…………。

…………。


「色々あったなぁ〜」


なんやかんやあった。


そう一言にまとめてしまえば、誰の人生だってその通り。


私として生まれ変わってからも色々あったし、ボクとして生きていた頃にだって色々あった。


女神様には感謝してる。


普通の世界で生まれ変わってたら壊れていたはずの精神をどうにかするために、そして魂にも根付いてしまっているらしい超能力が暴走しないために。


わざわざ変わった法則の世界を選んで転生させてくれたのだから。


特殊な法則と魔法、スキルとか色んな要素の存在する世界。


多少変わった力を持っていても前の世界ほど変には見られない。


今の私は自由だ。


優しい母親に不器用だけど家族思いの父親、可愛い弟と妹がいる。


今の私は怖いくらいに幸せだ。


何もなかったから、無いのが当たり前だったから。


今ある、あり過ぎる今が、重くて、怖い。


無いことすら知らない過去は平気だった。


無かったことを知った今は平気じゃ無い。


はぁ、何を考えてるんだが。


…………。


数日後。


庭でクリスとアルと一緒に訓練をしていると、屋敷の門から馬車が入ってくるのが見えた。


馬車は立派な馬が二頭で引いていて、我が家の家紋が入っている豪華なものだ。


「ただいま」


父が帰ってきた。


フレデリック=Aアリア=マグダイア。


黒髪に茶色い瞳をしたイケメンさん。


今回、父は暗殺者としてではなく、伯爵として出掛けていた。


貴族と暗殺者。


二つの顔。


人前では柔らかい笑みを絶やさない父だが、それは偽りの仮面。


無表情で淡々としているのが素顔で、だけれど作り物の自然な笑顔なんかよりよほど分かりやすくで安心できる。


クリスとアルが駆け寄り、飛びつくように父に挨拶をしている。


それを無表情に、しかし家族には満面の笑みだとわかる顔で受け止めていた。


クリスとアルに遅れて私も挨拶をする。


父は妹弟に向けるのと同じ笑顔で私の頭を撫でた。


さすがに少し恥ずかしい。


…………。


「新しい依頼だ」


スッ。


私は子供らしさを引っ込め、居住まいを正した。


場所は父の書斎。


今私たちは互いに仕事の顔をしている。


そこには父と娘の関係ではなく、マグダイア一族としてのAアリアDダモンがいた。


私くらいの子供にしかできない仕事。


それは暗殺に限った話ではない。


暗殺者だからといって、人を殺すだけでは生活なんか成り立たない。


諜報能力がなければ生き残れないし、潜入して事前調査だってする。


むしろ暗殺の依頼なんてあまりない。


マグダイア一族は暗殺の血族であると同時に諜報のプロフェッショナル集団なのだ。


「今回の依頼は暗殺ではない」


父はおもむろに言った。


「依頼主は陛下だ。Dダモンを直々にご指名だ」


驚いた。


国王陛下自らが私に直接依頼だなんて。


「王女付きの次女として潜入し、他国からの刺客を始末せよ」

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