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第5話〜王国の暗部マグダイヤ

いつもより少しだけ長いです。



ハーレス王国の南西部、王都からほんの数日ほど離れた距離にある森の中にマグダイヤ一族の里はある。


王国も全貌は把握していない裏組織。


ということになってるけど、実のところ王家直属の暗殺部隊はマグダイヤの血族で構成されているらしい。


国にとって不利益な存在を裏から消すための存在。


まぁ公然の秘密、というわけではなくて、王族のみが知る王国の闇の部分ってやつみたい。


その隠れ里があるのもマグダイヤ一族の表の顔、マグダイヤ伯爵家の所有する領地だし。


暗殺の依頼や仕事は王都にある酒場や事務所の地下など至る所にあり、王都と森の中間にあるシャマルという街を中継してこの里まで来る。


その結束の強さと堅実なチームワークによる暗殺の手際は裏では知らぬものはなく、また1人でも手を出せば一族の全てが最後の1人になるまで襲いかかって行く狂人の集団。


暗殺に特化した一族は様々な国から依頼がくるほどの手練ればかりとのこと。


親戚一同が殺し屋、暗殺者ってなかなか壮絶ね。


…………。


そこで疑問が浮かぶと思う。


私の産みの親は貴族だった。


にも関わらず対立組織に雇われた暗殺者、つまりは国王派のはずのマグダイヤに殺された。


まだ私は小さな子供でしかないから、そんなこと聞いたら不審がられるから聞かないけど、いつかは聞いてみたいという気持ちもある。


一度として抱き上げてくれたことのない人たちだけど、産みの親であることには変わらないし。


…………。


「クリス、反撃された時に目を閉じちゃダメだよ。アルは突っ込みすぎ」


「う、うん」


「わかった!」


木製の黒く塗り潰されたナイフを持って攻撃してくる2人をさばきながら、ダメなところを注意してあげる


2人ともまだまだ行動に性格が出ていて読みやすい。


性格がでるということは無駄があるという事。


しかし今は体を動かす事、学ぶ事が目的なので技術は必要ない。


ナイフを振るってきたクリスの持ち手を掴んで勢いのまま軽く引っ張る。


それだけでバランスを崩したクリスはこちらに向かって倒れ込んできたので優しく受け止め、回転しそのまま地面に転がす。


「きゃう!」


「はい、これで5回目だね」


そっと首筋にナイフを添えて、自分が今殺されたのだということを伝える。


「やぁ!」


「後ろから声を出したら相手にバレるでしょ?」


クリスの首筋にナイフを添えたその姿勢のまま、片足を後ろに突き出す。


するとナイフを構えて突っ込んできていたアルは自分から足に衝突し、息を詰まらせて転がった。


「ごふっ⁉︎」


「こちらが攻撃する時は、常に反撃されることを想定しないとね。…っと」


アルを振り返って手元が緩んだ瞬間、クリスがこちらの首めがけてナイフを振るってきた。


もっともそれはわざと作った隙なので簡単にかわす。


「え、なんで?」


そちらを見ずに紙一重のところで正確にかわして見せたこちらに、クリスは驚いたように声を出した。


この子からしたら隙を突いた自信のある攻撃だったのだろう。


「こーら。アルに言ったこと、クリスにも当てはまるんだからね?」


地面に倒した際わざとナイフを持った方の手はフリーにさせておいた。


倒れた姿勢からでは有効打になるナイフの軌道は決まっている。


あとはクリスのナイフを持った腕のリーチ分だけ避ければいい。


振りきって反対側にある腕の付け根に手を添えて、今度は片手で完全に抑え込む姿勢になると、クリスは体が動かせ無くなって驚いたように目を丸くした。


「怪我をして抑えられていることを想定したなら含み針を飛ばすべきだったね。まぁ一番はそんな致命傷を受けないことと、こんな密着しないことだけど」


こうやってわざと隙を見せて様々な攻撃をさせることは重要だ。


この子達は今どんどん吸収していく時期なのでどんどん学んでいく。


いずれ立派な暗殺者になるだろう。


「いてて……。お姉ちゃん強すぎ!」


「うぅ〜、うごけなぃ……」


お腹を押さえながら元気に喚くアルと逃げ出そうとして出来ないクリス。


「よし、仕切り直してまたやるよ」


「「うん!」」


今日も2人の弟妹は元気だ。

うーん、こんな小さな子供が実際にどれだけ動けるのでしょう。


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