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第17話〜超常は把握する

〜???〜


「そうか、王城にはそんな化け物がいたか」


「はい。あいつらと立ち位置が違えば、狩られていたのは私だったかもしれません」


王都のとある酒場で、2人の男が会話していた。


店は適度に人がいるものの、混雑はしていない。


互いにフードをかぶり、異なるテーブルで、背中合わせの席。


はたから見れば会話している様子もなく、他人にしか見えないだろう。


1人は昨晩王城に忍び込んだ暗殺者の男だった。


「まだ子供、それも幼児と言ってもいい見た目でしたが、手練れです。侍女に扮した護衛の情報は掴めていませんでした。見た目にそぐわぬ実力。私の存在にも気が付いていたかもしれません」


「幼い見た目で、お前ほどの男がそれ程までに警戒する相手、か。人族ではなく、妖精、ハーフリング、長命種の可能性もあるな」


しばし両者の間に無言の時が流れた。


「依頼そのものは失敗です。雇い主からはなんと?」


「一晩経っても音沙汰はない。おそらく始末されたのだろう。急ぎの依頼で金払いも良かったが、相手が悪かったな」


もう1人の男、暗殺ギルドのギルドマスターは抑揚の無い口調で呟いた。


「我々は完全に手を引く。依頼に関するものは全て処分だ」


「分かりました。侍女に扮した護衛についてはいかがなさいますか?今後も敵対する可能性がありますが」


「放っておけ。へたに藪を突いてドラゴンが現れたら目も当てられん。あちらから手出ししてこないならば手を出すな」


「はっ」


暗殺者の男は席を立ち、金を払ってそのまま店を出て行く。


残った暗殺ギルドのマスターもしばらくしてから店を去って行った。


そして…


…………。


その一連の流れを遠隔視と念聴で確認して、私は息をついた。


王城から酒場まで距離にして2キロくらいかな?


久しぶりに使ったけど、特定の場所の音を聴き分けるのは本当に頭を使う。


視るだけなら何十キロ離れてても、ちょっと酔うくらいで済むんだけど。


音となると会話以外にも発生する生活音なんかもノイズになるから、距離が離れてると処理するための脳への負担が半端じゃない。


ま、とりあえずこれで暗殺ギルドからの刺客については解決したかな?


いや、王都のギルドはこれだけじゃないし、足が付かないように他の人員を使ってくる可能性もあるか。


念のため思考を分割して暗殺ギルドの組員も探ってみてるけど、異国からの間者と接触している様子はない。


他国の人間だからってその全てを監視するなんてこともできないし、思ったよりも骨が折れる。


みんなが寝静まった夜中に記憶を覗いて回るのも非効率的だし…


あ、そうだ。


あの手が使えるかも。

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