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chapter1―邂逅―

若干好き勝手書いた感じになってしまいました...

 いつも通りの電車に乗っているのに何か不思議な感覚だった。前回同様今回も座れない。電車内にいる人は全く変わらない。そこにどんな人がいるか、何が起きるか。すべて分かっている。―来週、飛行機が落ちることも。それを変えるために僕は動かなきゃいけない。試しに一つ変えてみることにした。視界の隅で寝ているサラリーマン。今までは全く気にも止めなかったが彼は次の駅を乗り過ごしてしまう。流石に5回も見れば記憶に残る。

「××駅ですよ」

ドアが開くと同時に僕が声をかけるとカバンを持って大急ぎで降りていった。焦りのせいで特に僕がなぜ降りる駅を知っていたかを疑問に思ったりはしなかったようだ。ドアが閉まり次の駅を告げるアナウンスが流れる。先程のサラリーマンはこの声で目を覚まし窓から遠ざかるホームを眺めるはずだった。これで彼が遅刻する心配はないだろう。これが僕の、世界に対する最初の抵抗だ。

 そしていつも通り僕の乗った駅から2駅目で梨紗が乗ってくる。彼女はいつもより少し浮かない顔をしている。まだ自殺した生徒がいた事にショックを受けているんだろう。本当はこういう時くらい近づいて声をかけるべきなのだろう。だがここで近づけば僕が記憶を保持していることに彼女は気づくだろう。打ち明けるのはもっと落ち着いた場所の方がいい。少なくともこんな電車の中よりは。

 結局その後はいつも通り電車の中で過ごしそして改札の外で合流する。僕は前回と同じ内容の会話をする。途中で少し気づくかなといつもと違う話題を挟んでみたが梨紗は少しの反応を見せただけだった。記憶上、夢の話をしたのは前回だけのようだから今回のもそう言った些細なイレギュラーとして受け取ったのだろう。

 僕は自然公園の入口の前で脚を止める。いつもは通り過ぎる場所だ。

「ちょっと寄り道していこう」

僕はなるべく自然に言う。梨紗はかなり驚いたようだったが頷いた。この繰り返す世界に囚われる前の梨紗なら学校前の寄り道など間違いなく断っただろう。

「覚えてる?」

「何を?」

僕の唐突な問に梨紗は頭の上にハテナを浮かべたあとに聞き返してくる。

「3週間前のこと」

「3週間前・・・」

彼女は思い出そうとするが思い出せないようだ。当たり前といえば当たり前だ。3週間前というのはこの一週間を既に7回繰り返した梨紗から見れば10週間前なのだから。

僕は振り返りながら梨紗を抱きしめた。

「3週間前よりも3週前の方が分かりやすいかな?」

僕は彼女の耳元でちょっとふざけたように言う。彼女の頬を涙が流れ落ち、そして泣き出した。ある意味、ある意味で彼女はずっと孤独だったのだ。共有できる相手が誰もいないというのは想像以上に孤独で寂しかったのだろう。僕は彼女が落ち着くまでその体を抱きしめ続けた。


 彼女が泣き止んでからもしばらくはそのままでいた。

「落ち着いた?」

「うん・・・」

呼吸も落ち着いたようなので話しかけそのままベンチへと移動する。木々の間から差し込む光は暑い日でも心地よかった。

「・・・学校遅刻しちゃったね」

「どうせ何回も受けた授業だよ。行かなくてもいいくらいだろ」

「確かにそうかも」

彼女は笑う。とても久しぶりに見た笑顔だった。

「いっそのことサボって遊びに行こうか?時間は沢山あるんだし」

僕はおどけたように言う。

「あ・・・」

しかし急に思い出したようにそんな声を出して梨紗から笑顔が消える。そうだ、僕たちは笑っている場合ではないのだ。そんな事はいつだってできる。

「止めなきゃ」

梨紗はさっきまでよりもしっかりした声で言う。何をかは言うまでもない。

「学校に向かおう」


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