二編
最新エピソード掲載日:2013/09/16
この二編において用いた謡曲は、奈良のご時世に藤原淡海公(不比等)が唐土より贈られた宝玉を、讃州志渡の浦の海で失くしちまって、かの所の海女と契りを結んでその玉を海底に探させたっていう話によるものだ。海女は健気にも身を捨てて千尋の波間に潜り、龍神に守られたその宝玉を奪ったが、悪龍毒魚に追いかけられてどうしようもなく、乳の下を切り裂いて玉をその中に隠して海面へと浮かび上がって来た。そのくだりを鑑みつつ乳母の忠義に書き換えて綴ってみようとぽつぽつと思ってはいるが、龍神が迫ってくるよりも烈しい書房の催促・・・。急かされると考えもまとまらないものだというのに。志渡の浦に縁ある二条院讃岐の恋歌にこうある、
有磯海の浪まかきくわけてかつぐ蜑
息もつきあへずものをこそ思へ
ああ、有磯の海ほどの深さもない、この浅い才能で作り出したこの物語の思案に暮れて、かづきの白水郎(あま)の息よりもっと苦しんでいる作者の心であることよ!
有磯海の浪まかきくわけてかつぐ蜑
息もつきあへずものをこそ思へ
ああ、有磯の海ほどの深さもない、この浅い才能で作り出したこの物語の思案に暮れて、かづきの白水郎(あま)の息よりもっと苦しんでいる作者の心であることよ!
二編
二編
2013/09/16 23:44
(改)