表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘つきは誰?  作者: 葛龍
2/2

愚者のように恋して

「んしょ…」


これが、陸…

同じ砂なのに、海底とは違う。


「なんだか、熱いな……」


焼けるような、焦げるような。

否定されるような熱さ。


「あれぇ、人魚じゃんか」


前から声が聞こえた。

下ばかり見ていたから…

明るい紅い髪。

闇のような黒い瞳が僕を見つめている。


「あ…」

「どうしたの?代償を払ってまで、陸に上がってくるなんて」


這いつくばっている僕の前にしゃがみ込む。

僕よりも年下なのだろうけど、凛とした美しさがあって。

なんだか、こんな浜辺で、裸で、陸に上がった僕がすごく滑稽に見えて。

嫌だ…


「何?昔話みたいに王子様に恋でもした?」


脇の下に手をいれで、僕を抱き起こす。

けらけらと笑うと、口元から鋭い牙が見え隠れして怖い。

けど、それさえも綺麗で……


「僕、“運命の人”を…捜して」

「ふうん。運命ねぇ」


どことなく、困惑したような。

良く分らないけど、笑ってる。


「手伝ったげようか?」

「っぇ…いいの?」

「うん。特にすることも無いしね」


軽々と僕を抱えあげて、歩き出す。

力、強いんだな。

人間…じゃないよね。

何の種族だろう?

…て、僕も聞いただけでしかないから分からないんだけど…


「ねえ…名前、は?」

「ん?あたしはアストル」

「僕は、フォンテーヌ」


よろしくね。

僕は始めて笑えた気がした。

タイトル:「fisika」様より『恋のタロット』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ