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詩小説へのはるかな道 第90話 その石の意味

作者: 水谷れい
掲載日:2026/01/14

原詩: 石をご覧なさい


石をご覧なさい

言葉を持たず

黙ったまま

世界の重さを受けとめています


朝になると 光に撫でられ

夕方には 影の形を変えながら

そこにいることを

やめようとしません


名前もなく

時間もなく

ただそこにあることだけが

石の仕事です


石をご覧なさい

知らない未来に怯えず

ただ今日の地面に

静かに存在しています


ーーーーーーー


詩小説: その石の意味


駅前の広場に、一つの石が置かれていました。

誰が置いたのか、いつからあるのか、誰も知りません。

ただ、毎朝の通勤客の流れの中で、石はいつも同じ場所にありました。


市役所に勤めるぼくは、その石が気になりました。

「これ、撤去したほうがいいんじゃないですか」

上司に言うと、上司は新聞をめくりながら答えました。

「危険じゃないなら放っとけ。ああいうのは、勝手に意味がつくもんだ」

意味?

ぼくはその言葉が気になりました。


翌朝、石の前に小学生が座っていました。

「何してるの」

「この石ね、昨日よりあったかいんだよ」

子どもはそう言って、にこっと笑いました。


次の日には、老人が石に腰かけていました。

「この高さがちょうどいいんだ。ベンチより落ち着く」

そう言って、しばらく空を眺めていました。


さらに次の日、若い女性が石の写真を撮っていました。

「SNSで人気なんです。『未来を怖がらない石』ってタグがついてて」

ぼくは困惑しました。

未来を怖がらない石。そんなものがあるのか。


しかし、同じ場所に、同じ姿で、光や影を受けながら黙って存在している石を見ていると、ぼくは少しだけ羨ましくなってきました。

自分はいつも未来の締め切りや評価に追われています。

石はただ、今日の地面にいるだけです。


ぼくは仕事帰りに広場を通りました。

石は月明かりに照らされ、昼間よりも大きく見えました。

「お前はいいな。名前も役職もなくて」

石は何も答えてくれませんでした。


翌朝。

広場に行くと、石は消えていました。

代わりに、立て札が一本。

《不要物につき撤去しました》

ぼくは言葉もなく、しばらく立ち尽くしていました。


ぼくのスマホが震えました。

上司からのメッセージ。

《例の石、どこに移動したか知らないか? 市民から“戻してほしい”って苦情が来てる》

ぼくは空を見上げました。

石がここにある意味があったんだ。


=====


わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。


連作短歌:その石の意味


Ⅰ 朝の石


通り雨

しずくを弾く

名もなき石

誰にも知られず

そこにいるだけ


Ⅱ 上司の言葉


「意味なんて

勝手につくさ」

新聞の

紙の匂いと

ぼくの戸惑い


Ⅲ 小学生


昨日より

あたたかいよと

触る手の

体温だけが

石を語らす


Ⅳ 老人


腰かけて

空を見上げる

その姿

石の高さが

ひとの高さに


Ⅴ 若い女性


未来など

怖がらぬ石と

呼ばれては

光の中で

ただ黙りいる


Ⅵ ぼくの羨望


締め切りに

追われるぼくの

影の横

今日だけを生きる

石の静けさ


Ⅶ 月明かり


名も役も

持たぬお前を

見上げれば

月のひかりが

輪郭を増す


Ⅷ 撤去


朝の風

石の不在を

撫でてゆく

立て札だけが

意味を名乗った


Ⅸ 苦情


戻してと

市民の声が

空に舞う

ぼくの胸にも

石の重さが


Ⅹ 余白


どこへ行く

石の沈黙

思い出す

意味はいつでも

ひとの側から

詩をショートショートにする試みです。

詩小説と呼ぶことにしました。

その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。

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