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グレイズ・オブ・グローリー blue sky blue  作者: やましたゆずる
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第8章 そんな中でも授業は続いた

忍達は約1年が過ぎたカリキュラムも無事に熟し、業務用操縦士の資格を取りの勉強と計器飛行証明を取るための勉強を終了した。取り敢えず、アメリカに留学するのに必要な資格を全員とる事に集中した。1年間の英会話、英語の指導をしてくれた横山かおり教授と暫しのお別れで全員アメリカに旅立った。ノースダコタ大学へ留学した。行ってすぐにアメリカ自家用機の操縦を教わった。ロバート・モンゴリアス教授の授業であった。それが終わると自家用機の操縦をし、大空へ飛び立った。まず、操縦桿は、デビッド・マッケンジー教官が握って大空へ飛び立った。生徒は3名ずつ分かれて搭乗した。忍は一番最初のグループで搭乗した。マッケンジー教官が操縦の仕方、計器の見方を詳しく説明しながらスムースに操縦した。彼ら教官もパイロットの本試験をこれから受ける人達であった。それを知ったのは留学から半月先の事であった。忍は、この人達と同じスタートラインに立っている事が恐ろしくなっていた。その頃には、忍も単独で自家用機の操縦は出来るようになっていた。その頃になるとアメリカ業務用計器飛行証明の訓練に入っていた。単発機によるもので、忍は大空を飛べる事に感動していた。あの夢の中の風景と一緒だった。下に見えるのは海ではなく大地だったが地平線がすこぶる綺麗であった。このまま飛んで行ってしまいたい気持ちにさせられた。ここまで全員大きなミスもなく順調にカリキュラムをこなしていた。他のクラスの生徒で1名、日本に帰される事案が起きたのもこの時期だった。英会話がいまいちできなかったらしい。「他のクラスで1名、英会話が出来なくて帰ってもらったが、この中にも落第点の奴がいれば容赦なく帰ってもらうから。心して置いてくれ」とゲキが飛んだ。ロバート・モンゴリア教授からだった。全員緩みかけたネジが締まるのを何処かに感じた。この後、学科と実地が毎日続いた。が、誰もへこたれなかった。そんな時、学食で全員で不味いランチを食べていると一人のアメリカ人の女性が声をかけて来た。ザ・アメリカ人と言われる金髪美女だった。「こんにちは!私は、シャーロット・タッカーと申します。ロスから来てます。忍とは同じチームです。皆さんは日本の方ですか?こちらの食事には慣れましたか?美味しくないでしょう?」シャーロットはニヤリ微笑んで皆の顔を見た。男子は全員彼女の顔に釘付けになって「うん。」と頷いていた。みんな正直だった。マジで不味かった。忍はこっちに来て痩せたくらいだった。忍はお菓子もあまり口にしなかった。余ったるいお菓子ばかりだったからだ。まず、サンドイッチはパンが硬く不味いハムとベーコンはいける。野菜は不味い。同じクラスの大食いの菊川さんとラグビーの塚原さんもだいぶ痩せた。いつもお腹を減らせていた。忍はビーフジャーキーは口にあった。それとビールがあれば取り敢えず良かった。バッファローのジャーキーも試したがなかやかいけた。ビールは休みの日、12オンス缶1本と決め飲んだ。そして、菊川玲子が実地訓練中突然倒れた。教官が医務室にすぐ運んだがただの空腹であった。点滴を打ってすぐに実地訓練に戻ったが本日の操縦は無理と判断されて後ろの席で見学となりこの事が彼女の今後のカリキュラムに多大な遅れを生じさせてしまう事となる。ここに来て仲間がギクシャクし始めると崩れ落ちるのが早かった。この後次々と嫌な連鎖がおこっていく。まず、翌日、飛行機の点検で今まで完璧だった、ラグビーの塚原が工具を紛失させる事案が起こったが実際はなくなっておらず、本人のズボンのポケットに入っているという初歩的ミスを起こした。やはり空腹から来るものだった。塚原は、ずっとお腹が鳴っていた。工具1本でもなくなれば飛行機は飛ばない。全員の訓練が遅れるのである。塚原は教官にこっ酷く叱られた。30分遅れで実地訓練が始まった。最初の操縦はその塚原だったがまた、ミスを犯す。管制塔と話が上手く行かずなかなか離陸出来ずにいた。教官が良く管制塔の話を聞くように指示するがまったく聞き取れずにいると教官が初めて怒った。「お前、耳聴こえているのか?時間の無駄だ!代われ、はい、次ミス倉持。」マッケンジー教官が倉持の顔を見て操縦席の大柄な男を引きずり下ろした。静香は冷静にヘッドセットを付けると管制塔と会話し、操縦席に座った何もなかったように冷静に操縦桿を握った。静香はこの3名の生徒で断トツに操縦が上手かった。誰もが認めていた。忍はこのチームではなかった。他のチームは白戸、夏川、秋元の3名であった。他のチームは間根山、松山、青山のチームと忍1名はアメリカのチームに入った。シャーロット・タッカーと一緒だっで彼女がこのチームのリーダーで他にミア・クルーズの3名であった。「忍、日本のチームに問題が出たらしいよ。さっき、他のアメリカチームの人が言っていたわ?大した事ないと言いんだけどこの間、日本人が一人帰されたと聞いたから心配でさあ?」シャーロットが心配な顔をして忍を見た。「ランチ一緒にどう?シャーロット?ミア?すぐにわかると思うから。是非。」忍は二人の目を見つめた。「わかったわ。よろしく!」シャーロットが忍の目を見て優しく微笑んだ。「私もオッケー!」ミアも忍の目を見て優しく微笑んだ。午前中の講義と実習が終わると三人は、日本人チームの輪に入った。「ご苦労さま。何かあったんだって?」忍が静香の目を見て優しく微笑んだ。「うん。誰から聞いた?」静香は忍の顔を不思議そうな表情で見た。「もう、噂になってるよ。日本人チームにトラブルがあったって。」忍は静香の目を見つめた。「あら、早いのね。噂になるの?あったんだ、まず、菊川さんが空腹で倒れた。昨日、今日は松原さんが工具を紛失したかと思ったらポケットの中にあって、それに動揺して管制塔との交信が上手く行かず離陸出来ず、教官に引きずりだされた。事件かな?以上。」静香は、今見て来たかのように話した。実際に見て来た。「俺もこの所、毎日腹が減って集中出来なかった。それが原因。」松原が忍の顔を見て笑った。「このランチじゃ足りないし、不味いしで、みんなどうしてる?夜も同じだ。」塚原が忍やシャーロットやミアの顔を見て優しく微笑んだ。「日本ならコンビニとかあるからお腹空いた時は問題ないものね。こっちじぁ!コンビニは日本みたいに無いし、怖いし、良い所ないしね。夜出歩けないしね。やっぱり日本と違うから慣れるまで可愛いそう。このランチじゃわかるわ?」シャーロットが代弁してくれていた。「俺はビーフジャーキーやバッファロージャーキーとビールで足りるよ。美味しいから試してみぃ?」忍が松原の顔を見てニヤリ微笑んだ。「やっぱりコンビニがないのがガンだな?日本じゃ5分歩けば必ずあるものなあ?」松原は皆の顔を見た。「今晩、家においでよ。皆招待するわ!ママにたのんで腕をふるってもらうからお腹いっぱい食べなさい。寮の食事は食べて来なさい。学校からのイメージ悪くなるから。私、車で迎えにくるわよ。どう?遠慮しないで?ミアも来てね。」シャーロットが笑顔を振りまいた。シャーロットはこの時すでに忍にベタ惚れだった。ママとパパを紹介したかった。シャーロットはすぐにスマホを出し電話していた。オッケーをもらった。「本宅じゃないけどママが是非お越しくださいの事でした。」シャーロットは笑顔をまたしても振りまいた。忍は日本からのお土産を持参する事にした。文具、日用品をダイソーで爆買いしてきていた。特にキッチン用品を買って来ていたので喜ばれると思った。持って行くとシャーロットのママは大喜びする。夜6時に迎えに来る事を約束し、忍、シャーロット、ミアは日本人メンバーと別れた。午後の授業も順調に終わり夜6時になるとシャーロットが寮まで迎えに来た。トヨタに乗っていた。ミアもホンダで来た。二人の車に分散して乗ると車は走り出した。約20分の道を行くと大きな家が見えた。門を入ると玄関まで結構な距離を走った。忍は、シャーロットの父親はユナイテッド航空の役員だと知らされていた。全員は知らなかったから家のデカさに驚いていた。車を降りるとお父さんとお母さんが扉の前で全員を出迎えてくれた。「皆さん。こんばんは。いらっしゃいませ。」父親と母親は深々と頭を下げた。「すいません。急にお邪魔してしまいました。娘さんには日頃から良くしていただいております。古宇田忍と申します。つまらない物ですがお土産です。お納め下さい。ダイソーの商品です。お使い下さい。」忍が笑顔で母親の顔を見た。「こんなにいっぱいいぢいてしまってよろしいのですか?有り難う御座いました。」母親が忍の顔を見て優しく微笑んだ。「君が古宇田忍君だね。娘から噂は聞いておる。お土産有り難う。」父親が忍の顔を見てニコリ微笑んだ。「皆様、どうぞ、中に入って下さい。沢山の料理作りましたから、私は料理作り下手なので料理人が作りましたのよ。味には自信があります。プロが作りましたから。どうぞ!どうぞ!」母親が笑顔で全員の顔を見た。リビングのバカデカさに全員は驚いた。キッチンもデカく何十人も座れるキッチンテーブルがドンとあった。その上には所狭しと料理が並んでいた。お酒もビール、ワイン、日本酒まであった。多分、父親と母親とシャーロットの座る椅子はいつも決まっているのだろうと思った。「さあ、さあ、皆さん、空いている席に座って下さい。」母親が言うとまず、リアがシャーロットの隣に座った。後のメンバーは遠くに座った。が、「そんな遠くに座らないでこちらへどうぞ!」父親が手招きをした。「それでは、遠慮なく。」忍が言うとリアの隣に座った。その隣に白戸が座り倉持が座り、秋元が座った。リアの前に青山が座り隣に松山と菊川が座った。そして、松原が座り夏川が座った。「皆さん。何飲みますか?」母親が皆の顔を見た。女性は全員赤ワイン。男子は全員ビールだった。「皆さんに逢えた事に感謝し、乾杯いたします。乾杯!」母親が音頭をとった。「乾杯!」全員がグラスを鳴らした。「いただきます。」菊川と松原が真っ先にホークを持って食べ始めた。「上手い、上手い」を連呼していた。忍は味わって食べた。父親から質問が投げかけられた。まず、パイロットの志願動機と何処でパイロットになりたいか?アメリカに来る気はあるかなどを聞かれた。一つずつ丁寧に答えた。最後のアメリカに来るのならうちでパイロットになりなさいとまで言われた。ユナイテッドで働いてくれと言う事だとすぐにわかった。だが、まだ、パイロット試験にも受かってないので返事は出来ないと断った。「今すぐとは言わないから是非うちにとシャーロットがうるさいからな?」父親は意味深い話をした。忍はシャーロットを見ると顔を赤くしてうつむいたシャーロットがそこに居た。なんの事だかはすぐに察しがついた。菊川と松原はたらふく食べた。これでもかというくらいに食べた。忍は丁度良いくらいに抑えた。明日も授業があるのを忘れなかった。この男の良い男と言われる所以であった。「ご馳走様でした」全員合掌して、ホークを置いた。「皆さん。お腹いっぱいになりましたか?食べ残り持って行くといいわ。」母親が皆に声をかけた。「はい。いただきます。」菊川と塚原が言った。「シャーロット。キッチンからタッパー何個か持って来て!」母親がシャーロットの顔を見た。「はい。わかりました。」シャーロットは席を立つとキッチンへ向かってタッパーを何個か持って来た。シャーロットはそれに料理を詰め合わせた。母親とシャーロットとミアはお土産を開けると沢山の便利グッズが入っていた。三人ははしゃいで喜んだ。ミアも何個か貰った。ボールペンや消しゴムに食いついた。キッチングッズを見た母親も「これ、うちの料理人に使ってもらうわよ。有り難う。ここの家は借家だからロスの本宅に今度、いらしてください。」母親は忍を熱心に誘った。忍は、ここが借りてる家なのかと思った。シャーロットの家は金持ちだと悟っていた。そんな彼女に忍は思いを寄せられている事に身体が熱くなった。そしてメンバーは、父親と母親にお礼を言ってシャーロットとミアのミニバンに乗った。夜の帷の中を車は走った。その頃、ある国がこの世界地図から消えかけていた。次の日、その国の留学生に帰国命令がくだる。


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