第13章 無理なお願い
忍がそれを知ったのはロスアンゼルス国際空港のパイロット専用ラウンジだった。日本の藤原総理が首相を辞職するとのニュースだった。あんなに国民からの支持があった人が辞めるなんて、持病が悪化したらしい。後任の首相には沢井星璃官房長官が選ばれたとの事だった。忍は沢井星璃、旧名望月星璃、高校時代の同級生だった。忍45歳、星璃45歳の事だった。忍は星璃と関係を持ってはいなかったがだいぶモーションをかけられた記憶が残っていた。星璃は先祖代々忍びとして徳川秀康に仕えていた。だから、星璃は結城に自宅があった。つくば市の竹園高校まで通っていた。だから良く知っていた。あの頃から綺麗で男子のあこがれの的だった。忍にはあまり良い印象はなかった。日本国中央情報局局長やアメリカ合衆国中央情報局長官などを経て前回の衆議院選挙で当選した事は知っていた。それが日本の総理大臣とはビックリした。アメリカ大統領との首脳会談でアメリカに来ると言う話もしていた。それからの事、忍は色々と調べた。なんなら、俺がその政府専用機を操縦してアメリカに連れて来たいと考え始めたのある。まず、専用専用機は何処にある。まず、日本の政府専用機は2機ある事を知り、自衛隊が管理している事を知り、北海道の千歳空港と東京の羽田空港にある。運用は航空自衛隊、パイロットも航空自衛隊だった。航空自衛隊には間根山大佐と大学卒業後士官学校へ行き学んだ、塚原空将が居た。頼みこんでみるか?忍は考えた。しかし、沢井総理本人に頼みこんでみるのが手っ取り早くしかし、高校時代の忍の印象は多分悪いと判断した。が忍は沢井総理へ電話を試みる。首相官邸にまず電話した。なかなか取り次いでもらえなかった。コネがまるっきりなかったので高校時代の恩師で担任だった広瀬先生にたのんでみたら一つ返事でオッケーをもらった。竹園高校でも茨城県初で竹園高校から総理大臣が出たと言う事で盛り上がっているとの事だった。古宇田は同窓会来ないいや来れない理由はわかった。ユナイテッド航空で機長をやっていると聞いて安心したと言ってくれた。「任せろ、沢井に連絡とってみっから、お前の携帯の番号教えるぞ?これからしとくから折り返し連絡あると思うから?忍元気でがんばれよ。金髪の奥さんに宜しく、あばよ、」広瀬先生はそう言って電話を切った。そうすると約1時間後にわからない電話番号から電話が来た。発信元は東京だった。アメリカは夜の21 時だった。日本は朝の4時だ。「もしもし、古宇田です。」忍が電話に出た。「忍ちゃん、私、総理!あかりよ。望月星璃。しばらくぶりね。お元気ですか?広瀬先生から電話で忍ちゃんが私に話があるっちゅうから電話した。話って何?総理になったから付き合いたいは駄目よ。私、旦那も子供もいるから、就任早々不倫で辞職はないわ!それはないか?」あかりはおちゃらけた。「実は俺、今アメリカのユナイテッド航空でパイロットしていてなあ。あかりちゃん今度、アメリカに来るだろう日米首脳会談で。その時の政府専用機の操縦、俺にやらせてくれないか?たのむ。君を無視して来た、高校時代のお詫びにさあ?頼みます。自衛隊に掛け合ってくんないかなあ?俺の腕は話が決まれば会社が証明してくれるから。多分経歴、飛行時間等出してくれる。安心して。俺を推薦してくれよ。カミさんを副機長にするから?」忍は電話の向こうで頭を必死に下げた。「お安い御用。わかった。関係機関に話してみるから期待しないで待っていて。嘘、期待していいから。頼んだ。なんてったて日本国106代総理大臣だから。後でまた連絡します。それではお元気で!金髪の奥さんに宜しく!あなた、外国人好きね。アハハハ!」あかりは笑いながら電話を切った。それから1カ月後、自衛隊の航空幕僚長より電話が来た。「政府専用機の日本アメリカ往復の操縦をお願いしたい。沢井総理大臣の強い希望なので特別に認めました。宜しくお願い致します。経歴は申し分ありませんでした。」幕僚長は電話を切った。忍は総理大臣には連絡しなかった。多分知っているだろうと思ったからだ。その日の夜、父親のブラウンCEOが忍とシャーロットに改めてて大事な話があると部屋に呼ばれた。二人は父親の部屋のドアをノックして父親の部屋に入ると「そこに座りたまえ。」ソファーを指差した。「失礼します。」二人はゆっくり座った。「話はとても大事な事だ来月10日から15日にかけて日米首脳会談がある。10日前までに日本に入り、日本国政府専用機の操縦を君達二人に沢井総理直々に依頼があった。日本とアメリカを往復してほしい。機長は忍君、副機長はシャーロットで頼む。大事な仕事だぞ!任せた。忍君、沢井総理大臣と友達とか?言っていたな?」父親は二人の目をじっと見つめた。「はい。高校時代の友達です。俺に是非やらせてくれと頼みこみました。」忍は父親ブラウンの目を見てニヤリ笑った。「そうだったのか?君が頼んだのか?総理大臣と高校時代の同級生とはな?偶然だな?大変光栄な事だと思う。会社として全面バックアップさせてくれ。シャーロットも補助してあげてくれ。」父親ブラウンは二人の目をじっと見つめた。「社長の所にも連絡が行きましたか?俺も昼間、自衛隊から連絡もらいました。あかりちゃんにはわざわざ連絡しなくてもいいですよね。多分承知済みの事だと思いますので、あかりちゃんって総理大臣の事です。俺達、あかりちゃん。しのぶちやんって呼んでいるんですよ。」友達なんで。忍はブラウンの顔を見てニヤニヤした。それを見てシャーロットは幸せな気分になって、自然に微笑み返しをしていた。「チケット手配は私がしとくから日本政府からの要望でファーストクラス取っておくからな日本との往復。前の日の晩ご飯とその日の朝ご飯は、絶対に同じ物を食べるなよ。わかっていると思うけど確認の為。宜しく。これで終わり。」父親ブラウンは二人の目を見つめた。忍とシャーロットの日本への出発の日が来た。二人はパイロットの制服でロスアンゼルス国際空港のユナイテッド航空パイロット、キャビンアテンダントラウンジに入った。全員の視線が二人に刺さった。「おはようございます。」日本への直行便のパイロットのマッカーシー機長とフリーマン副機長とグランデチーフパーサーに挨拶をした。出発までをソファーに座りコーヒーをのんで新聞を開いた。MLBでは相変わらず大谷と山本と佐々木と今井と村上と岡本の話題で盛り上がっていた。日本人として誇らしく感じた。「古宇田さんとシャーロットはこれから日本ですか?その噂、知っていますよ。なんか、日本国政府専用機の操縦とかでなかなかない事で私なんか羨ましいなあ?私もエアフォースワン操縦したいな?」ベテラン機長のオリビア・トンプソンが二人の顔を見て笑顔で微笑んだ。「今回は色々な手を使って操縦出来るように頼んだんだよ。沢山の人のチカラを借りた。」忍はオリビアの目を見つめた。「そうなんだ?でもそれだけでも素晴らしいわよ。キャビンアテンダントは日本人?」オリビアが忍の目を見つめた。「たぶん。何も聞いてない。」忍はオリビアの目を見て優しく微笑んだ。他の仲間からも声をかけられ、飛行機は定刻に出発した。二人はファーストクラスに座った。日本政府からのおもてなしだった。普段ならパイロット補助席というものがある。特別であった。機内食も当然ファーストクラス専用でやはり、二人は違う物を食べた。12時間で成田国際空港に到着すると政府の人間が迎えに来てくれていた。東京の一流ホテルまで案内エスコートしてくれた。久しぶりの日本を満喫したかったがそれは叶わなかった。ホテルに缶詰だった。その時、テレビを観ていたら京都の特集が流れていた。それを見たシャーロットが「私達、旅行って行ってないわね。ここにしない?綺麗だから。ここに行って見たい。」シャーロットが目をキラキラさせた。「うん。いいんじゃね。俺もしばらく行ってない。パパとママも一緒に連れてこよう?」忍は提案した。「パパとママも喜ぶわ。休みとれるかしら。」シャーロットが忍の顔を見て笑顔で笑った。「シャーロット、それで良いなら決まりだ来月にまとめて休みをとろう。京都には温泉もあるから楽しみだな。」忍はシャーロットの顔を見て優しく微笑んだ。ディナーはホテルのレストランには、別々の料理が予約されていた。二人は日本政府に感謝して、食事をとった。すると政府の職員が明日のスケジュールを知らせに来た。「羽田空港出発は午前11時、ロスアンゼルス到着はその日の午後4時です。会談は翌日の午前9時からです。帰りは翌日の午前7時出発の羽田着午後7時です。その後お二人は成田に移動していただいて9時30分発のユナイテッド航空でロスアンゼルスに帰国になります。明日は9時にはお迎えにまいります。昼食は羽田で予定しております。違うメニューですよね。」政府職員は二人の目を見つめた。「わかりました。そうです。違うもの用意してください。お願い致します。」忍は職員に頭を下げた。その日は少しお酒を飲んだ。「ご馳走様でした。」二人はホークを置いた。部屋に帰り、忍は湯船に入った。アメリカでもお手伝いさんが気を利かせて湯船にお湯を入れてくれているがアメリカの湯船は浅い肩まで温まれない。お風呂が長くなった。心配してシャーロットが見に来て安否を確認した。「何やってんの?」声をかけた。「君もゆっくり湯船につかったらどうだ?追い炊きしておく。」忍が湯船の中から怒鳴った。「は~い。」シャーロットが返事をした。二人の時は日本語で会話した。シャーロットもなかなかお風呂から出て来なかった。そして、二人は抱き合って就寝した。朝6時に起きて朝食バイキングに二人で向かった。二人は全然違うものを食べた。忍は、ご飯に納豆、鮭の焼いた物、ひじきを口にした。味噌汁も飲んだ、シャーロットはトーストにハムとベーコンスクランブルエッグとコーンスープにコーヒーと定番メニューだった。部屋に帰ってテレビを点けた、沢井総理大臣が渡米するニュースをしていた。空港にはテレビ他大勢の取材人でごった返していた。沢井総理大臣初の外遊であった。政府専用機がクローズアップされていた。あれを操縦すると思うと胸が高鳴った。二人がそこに居た。そして、政府専用機を操縦するのが高校時代の同級生の古宇田忍とその妻のシャーロットだと写真入りで紹介された、「もう少し良い写真使えよ、」忍とシャーロットは愚痴った。「帰ったら広報に苦情だな、」シャーロットが口にした、時間になると政府職員が迎えに来た。スーツケースを引きながら職員の後をついて歩きホテルを後にした。政府専用車は乗り心地が良かった。羽田空港に着くと政府職員が「沢井総理大臣がお待ちです。総理大臣控え室へどうぞ。」と言って優しく微笑んだ。職員の後について歩き空港の一室に通されると中央のソファーに沢井総理大臣が座っていた。「失礼致します。」二人は声を合わせ頭を下げて、直立不動で敬礼をした。「あらあら、しのぶちやん。久しぶり、良い男なのは変わってないわ?こちら奥さん。初めまして沢井星璃です。日本国106代内閣総理大臣です、綺麗な奥様だ事。」あかりは二人の顔を見て笑顔で見つめた。「本日は、アメリカまでの飛行機の操縦任せていただき感謝致します、募る話は飛行機の中でここ盗聴器があるかもしれないので?後で時間作って頂戴な?」あかりは二人を見て優しく微笑んだ。ランチ食べてないでしょう。早いけどたべましょう。「内野、お昼お願い致します。」あかりは職員に頼んだ。しばらくすると係員が高級そうな弁当を4つ持って来た。入口の所にもう一人立っていた。「神田秘書官、お茶をお願いします。」あかりが男に向かって発した。秘書官だったんだと忍は納得した。「忍ちゃん。奥様どうぞこちらに座って下さい。」あかりは自分の前の席を指差した。弁当には名前が書いてあった。総理、秘書官、機長、副機長とあった。蓋を取ると忍とシャーロットの弁当の内容は全然違う。総理と秘書官の弁当は同じだった。「これ、仕出しじゃないから安心してね空港のレストランで作って貰ったのよ。あなた達は別々ね。大変ねパイロットって!さあ、食べて頂戴。味は分からないけど?不味くはないと思うわよ。それではいただきます。」あかりは合掌して箸を貰って食べ始めた。「いただきます。」神田も合掌して箸を持って食べ始めた。「いただきます。」忍は合掌して箸を持って食べ始めた。「いただきます。」シャーロットは合掌して箸を持って食べ始めた。「これ、美味いなあ?忍ちゃん。うちのラーメン食べた事ある?」あかりはお弁当の味を褒めて忍にラーメン星璃のラーメンを食べた事あるか聞いた。「うん。あるよ。実家の近所にあるからトラックドライバーの時、お昼はランチを頼んでいた。俺は豚骨特製味噌チャーシューが好きだよ。餃子も時々カレーラーメンも食べた。今もあかりちゃんが仕切ってんのか?」忍はあかりのラーメン屋を褒めた。「今は旦那に任せてる。若い優秀な社員も増えてるしね日本全国に250店舗あるんだよ。シャーロットにも食べさせてあげて。忍ちゃん。お子様は何人いるの?」あかりが忍の顔を覗いた。2人だよ。男と女。「私も2人いる。どっちも男だよ。将来ラーメン屋になるって言ってるわ。パイロットあたり狙ってくれないかね。今、東京の江戸川区にいる。」あかりは忍の顔を見て優しく微笑んだ。「ご馳走様でした。」あかりが食べ終えて合掌し箸を置いた。「この弁当美味しかったな?神田さん次回もここでお願い。」あかりは神田秘書官の顔を笑顔で見た。「ご馳走様でした。総理そうですね。そうします。美味しかったです。」神田秘書官は総理の顔を見て優しく微笑んだ。「ご馳走様でした。美味しかったです。」忍とシャーロットは合掌し箸を置いた。「あかりちゃん。逢えてよかった。ご馳走様でした。また後でお会いしましょう。仲間の顔見てきます。失礼致します。」忍とシャーロットは総理に頭を下げて部屋を出て行った。ユナイテッド航空の乗務員ラウンジに向かう途中にJALとANAのラウンジの前を通るとガラスの中に見覚えのある顔があった。倉持静香と白戸英二だった。




