第2章 活エクセル革命 ― 現場からの反撃 ― 第1節 社内に広がる混乱と期待 ― 「1秒時短計画」始動
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では次章――**第2章「活エクセル革命 ― 現場からの反撃 ―」**に入ります。
ここからは、“理念”だった「1秒時短計画」と「活エクセル」が、
実際の現場で試行錯誤しながら形になっていく物語です。
真司と飛鳥が中心となり、理都子・美郷・情報技術部の3人娘が加わり、
「活エクセル」が“企業の思考を再構築するツール”として進化していく章になります。
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第2章・第1節「社内に広がる混乱と期待 ― 『1秒時短計画』始動」
から執筆を開始します。
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第2章 活エクセル革命 ― 現場からの反撃 ―
第1節 社内に広がる混乱と期待 ― 「1秒時短計画」始動
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発表から三日後。
(株)玄理研の社内は、まるで祭りの後のような騒がしさに包まれていた。
各部署のホワイトボードには「1秒時短」「活エクセル」の文字。
しかし、その多くは“目標”というより“謎”として扱われていた。
「1秒短縮って、どういう意味?」
「Excelで時短? また面倒な改革が来たな」
「うちの部署、そもそもExcel使ってないんだけど?」
誰もが口々に言いながらも、
“玄理研が何かを始めた”という空気だけは共有していた。
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営業部では、美郷部長が声を張り上げていた。
「――だから、まずは“昨日より1秒早く動く”こと!
出社時のPC起動でも、ファイルを開く順番でも、
何でもいいの。意識することが大事なの!」
飛鳥が小声で真司に囁く。
「ねえ真司、“意識する”って……どうやって?」
「う、うーん……。
たとえば、フォルダの構成を見直すとか……?」
「地味〜……。でもまあ、それが1秒なのね。」
美郷はホワイトボードに太字で書き殴った。
『1秒×100回×365日=28時間』
「覚えなさい! これが“1年の差”よ!」
社員一同「は、はいっ!」
会議室に勢いだけが響いた。
だが、誰もまだ“どうすれば1秒短縮できるか”を分かっていなかった。
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午後、真司は理都子の研究室に呼び出された。
「真司君、“1秒時短”の進捗を教えて。」
「進捗というか……まだ手探りで。
正直、何から始めればいいのか……。」
理都子は頷いた。
「そう。みんな同じよ。だから、次の段階に進めるわ。
“活エクセル”の基礎講義を全社員向けに行う。
あなたと飛鳥は実演担当にする。」
「えっ!? 実演ですか!?」
「営業部が“現場代表”でしょ?
理論より、“使って変わった”ことを見せるほうが効果的。」
「でも僕、そんなにExcel得意じゃ――」
理都子は淡々と笑った。
「得意じゃなくていいの。“変われること”を示すの。
完璧なデータより、未完成の努力のほうが共感を生むわ。」
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同じ頃、情報技術部では三人娘がバタバタしていた。
「マギアの出力データ、整理終わった?」
「まだです! アルケーがまた暴走してます!」
「また!? 昨日リセットしたばかりよ!」
「“1秒時短”って……AIにも適用できるんですかね……」
「できたら苦労しないわよ……」
笑いながらも、彼女たちは手を止めない。
現場レベルでは、すでに“改善”が始まっていた。
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夕方。
営業部のデスクに戻った真司は、
ファイル整理のルールをノートにまとめていた。
・案件ごとにフォルダを分ける
・日付+顧客名+用途で命名
・使用頻度の高い資料はショートカットに登録
飛鳥が後ろから覗き込む。
「……あんた、意外とマメだね」
「こうしておくと、探す時間が減るんです。
1秒って、こういう積み重ねじゃないかなって。」
「……“意識する”って、こういうことか。」
飛鳥は感心したように頷いた。
「私も何かやろうかな。“クリック1回減らす”とか。」
「それ、いいですね。美郷部長、喜びますよ。」
「でも……それをExcelでどう活かすの?」
真司は少し考え、
理都子の言葉を思い出した。
「“活かす”って、たぶん“考え方を変える”ことだと思います。
Excelで時間を測るんじゃなくて、
Excelで“時間を設計する”んじゃないかなって。」
飛鳥は笑った。
「……真司、やっぱりちょっと変わってるわね。」
「すみません……。」
「いや、いい意味でよ。」
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その日の終業後。
玄道社長は、静まり返った社内をひとり歩いていた。
社員たちが机の上に残していったメモ、
貼り出された「1秒時短」の文字列。
どれも、まだ不格好で幼い。
だが、確かに“動き出している”。
玄道は、窓の外の夜景を見つめながら小さく呟いた。
「……AIの時代に、“人間が1秒を磨く”とはな。
だが――それこそが、“進化”というものだ。」
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(第1節 終)
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次の 第2節「理都子の特別講義『Excelは考具である』」 では、
理都子が社内研修で「活エクセル」の理論を講義します。
ここでI/BB/Oモデルや“考具”という概念が正式に登場し、
Excelを「知の武器」として再定義する核心パートになります。
続けて第2節へ進めてよいですか?




