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(株)玄理研の奮闘記録(AI‐βとの対話)  作者: 嵗(sai)


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第1章 セカンド・ウォーターシェッドの遺産 第6節 事業補完計画 提示

***

では第1章のクライマックス――第6節「事業補完計画」提示を執筆します。

ここでは、前夜の幹部会議を経て、翌朝の**全社会議(全社員集会)**の場面を中心に描きます。

玄道社長のスピーチは、理論と情熱の両面を兼ね備えた「哲学的経営宣言」。

そして、真司・飛鳥・理都子・美郷らがそれぞれの想いを胸に、

“1秒時短計画”と“活エクセル”という挑戦を受け止めるシーンへと繋がります。

________________________________________

第1章 セカンド・ウォーターシェッドの遺産

第6節 事業補完計画 提示

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午前九時。

本社ビル最上階のホールには、全社員が集まっていた。

古びたプロジェクター。

マイクのハウリング。

どこか場末の研修会のような空気。

それでも、社員たちの目には、

一筋の“何かが始まる”予感が宿っていた。

前方の壇上に、玄道社長が立つ。

その背後には、理都子、美郷、冬月。

そして、壁際には真司と飛鳥の姿もあった。

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玄道はゆっくりとマイクを取った。

その動作だけで、会場が静まり返る。

「……おはようございます。玄道です。」

重く低い声が、ホールに響いた。

「昨夜、私は役員とともに、会社の未来について議論しました。

 その結果、本日ここに、新たな方針を正式に提示します。」

スクリーンに、一枚のスライドが映る。

【Project:事業補完計画】

― すべての“時間”を、価値に変える ―

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「私たち玄理研は、AI開発を主軸とする企業です。

 しかし、いまやAIはどこにでもある。

 AIが“人間を超える時代”と言われて久しい。

 だが――」

玄道は間を置いた。

「AIが世界を救ったか?」

誰も答えない。

ただ、沈黙だけが響く。

「AIが生んだのは、効率と管理、そして喪失です。

 人間は、自分で考えることをやめた。

 数字に従い、指標に従い、結果に縛られている。

 我々は、“思考の奴隷”になっているのです。」

社員たちの視線が玄道に集中する。

「だから、玄理研は変わる。

 我々は“AIに使われる”のではなく、“AIを使いこなす”企業になる。

 そしてその第一歩が、“1秒時短計画”です。」

スクリーンが切り替わる。

【1秒時短計画】

― 所作ひとつを1秒短縮する ―

― 1人×1秒×100回×365日=年間28時間 ―

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理都子が前に進み、補足を始めた。

「この計画は、単なる効率化ではありません。

 “1秒”という最小単位の改善を通じて、

 私たちの“思考構造”そのものを変える試みです。」

「私たちは日々、Excelを開き、数値を入力し、報告書を作ります。

 その一連の行為の中に、“思考”が眠っています。

 『なぜこうしているのか』『どうすればもっと良くなるか』――

 それを考える力こそが、AIにできない“人間の知性”です。」

________________________________________

美郷が壇上に立った。

「現場の営業として言わせてもらうわ。

 お客様が求めているのは、AIでもシステムでもない。

 “すぐに役立つ知恵”よ。

 だから、私たち自身が“考具ツール”を使いこなす必要がある。

 活エクセルはそのための武器。

 Excelを使って“考える”ことを取り戻すの。」

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再び玄道がマイクを取った。

「Excelを軽んじてはいけない。

 AIは“結果”を導くが、Excelは“考え”を形にする。

 Excelは、人間が生み出した最も身近な“知の器”だ。」

スライドに、新たな言葉が映し出される。

【活エクセルの理念】

 ① 入力は最小化する(Input)

 ② 分析は構造化する(BlackBox)

 ③ 出力は共有化する(Output)

 → I/BB/Oモデル

「活エクセルは、単なる技術ではない。

 それは“知的生産の再構築”であり、

 AI時代における“人間の兵站ロジスティクス”だ。」

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飛鳥が、真司に小声で囁いた。

「兵站って……軍隊の補給線のことだよね?」

「ええ。理都子さんが言ってました。

 “Excelは、情報戦の補給線”だって。」

「……なんかカッコいいじゃない。」

二人の小さな会話が、静かな会場に溶けていく。

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玄道は続けた。

「この計画は、全社員を対象にします。

 開発も営業も、管理も宣伝も、

 全員が“1秒を磨く”。

 それが玄理研の新しい文化になります。」

冬月が資料を掲げた。

【実施概要】

① 第1段階:3ヶ月/全社員“1秒時短トレーニング”

② 第2段階:6ヶ月/活エクセル実践・改善報告会

③ 第3段階:1年以内/知的生産性+20%、コスト−10%

「これが、“補完”の第一フェーズです。」

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会場の空気が少しずつ変わっていく。

最初は「また改革か」と冷めていた社員たちの顔に、

わずかな光が戻りはじめた。

真司は、隣にいる飛鳥を見た。

「……やってみたいですね。」

「え?」

「この1秒時短。

 昨日、自分でファイル整理したら、ほんの数秒で気づきがありました。

 なんか、自分でも“変えられる”って感じがして。」

飛鳥は小さく笑った。

「……真司って、ほんと真面目。でも、そういうの嫌いじゃない。」

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壇上では、理都子が締めくくりの言葉を述べていた。

「AIは、常に“最適解”を探します。

 でも、人間には“目的”を選ぶ力があります。

 1秒を大切にすることは、

 “なぜその時間を使うのか”を問い直すことです。」

そして、玄道が最後の言葉を告げた。

「――我々の敵は、AIではない。

 “惰性”だ。」

会場が静まり返る。

その沈黙の中に、確かな緊張と希望が混ざっていた。

「玄理研は、1秒を積み重ね、未来を築く。

 これが、我々の“事業補完計画”である。」

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拍手は、最初わずかだった。

だが、誰かが手を叩くと、次第に波のように広がっていった。

真司はその音を聞きながら、

心の奥に何かが灯るのを感じていた。

“AIが世界を救うなら、

 俺たちは“時間”で世界を救うんだ。”

そう思った瞬間、

真司は小さく拳を握った。

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その日の夕方。

理都子が廊下で真司に声をかけた。

「真司君、今日の発表、どう感じた?」

「……正直、まだ全部は理解できてません。

 でも、“1秒に意味を持たせる”って言葉、

 すごく心に残りました。」

理都子は頷き、微笑んだ。

「いい答えね。

 意味を考えることこそ、“考具”を使う第一歩よ。」

そして、静かに付け加えた。

「――あなたのその感覚が、

 “衛破”を動かす燃料になるかもしれないわ。」

________________________________________

(第6節 終/第1章完)

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これで**第1章「セカンド・ウォーターシェッドの遺産」**が完結しました。

全体で約45,000字規模の導入章となります。

次の展開としては、

第2章「活エクセル革命 ― 現場からの反撃 ―」へ進み、

実際の“1秒時短計画”の現場実践編に入ります。

この第2章を、同様に3〜5万字規模で展開してよいですか?


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