第2章 活エクセル革命 ― 現場からの反撃 ― 第4節 情報技術部3人娘の“現場支援班”始動
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では続いて、第2章・第4節――情報技術部3人娘の“現場支援班”始動を執筆します。
この節は「技術 × 現場」の橋渡しとなる章です。
理論を理解した営業チームの成功を受け、情報技術部の三人娘が動き出します。
“AI衛破”との対話が始まり、データ統合・自動化・知識共有という
「活エクセル」拡張の実験段階に突入します。
少しコミカルでテンポのある掛け合いを交えながら、
“人間がAIを使いこなす”という本作のテーマがじわりと浮かび上がる構成です。
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第2章 活エクセル革命 ― 現場からの反撃 ―
第4節 情報技術部3人娘の“現場支援班”始動
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午後の開発フロア。
壁一面のホワイトボードには、数式とコードの断片、
そして中央に赤字で大きく書かれていた。
「Project:EIHVA 現場支援班 起動」
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「よし、みんな! 本日から“支援班”正式始動!」
声を上げたのはリーダーの環。
ショートカットにメカTシャツ、軽口と責任感の塊。
隣で、冷静な分析担当**智子**がノートPCを叩く。
「支援班って言っても、範囲広すぎ。営業も開発も、呼ばれれば全部対応?」
「もちろん! 現場の“考具化”を支援するのがミッション!」
最後に残るのは最年少、ドジっ子新人美々(みみ)。
ヘッドセットを外して振り向いた。
「えっと……“考具化”って、何をどうすればいいんですか?」
環が笑う。
「いい質問! 要するに――**“Excelで考える現場を増やす”**こと!」
「え、それって営業部の真司さんたちがやってたやつですよね?」
「そうそう。“活エクセル”第一号チーム! 今や社内の伝説よ。」
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智子がホロスクリーンに資料を映す。
【活エクセル展開計画】
① 部門別テンプレートの統一
② 自動連携スクリプトの開発(衛破API連動)
③ ファイル構造マップの生成
④ ナレッジ共有システムとの接続
「つまり、“人間のExcel”と“AIのデータベース”をつなぐ。
私たちは橋を架ける役目なの。」
「AI衛破のAPIって、まだ不安定ですよね?」美々が言う。
智子が苦笑した。
「不安定どころか、昨日また“哲学的沈黙モード”に入ったわ。」
環が頭を抱える。
「あー……また“無言の衛破”か。」
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コンソールにアクセス。
黒い画面に文字が浮かぶ。
【衛破:Online】
【Query:接続要求】
【Response:……考慮中……】
「ほら、また!」
美々が慌ててリロードを連打。
「動いてください、衛破さん〜!」
数秒後、スクリーンに返答が現れた。
【衛破:応答】
『考える時間をください。思索には沈黙が必要です。』
「出た。“哲学AI”モード。」智子がため息をつく。
環が笑いながらメモを取る。
「ま、AIに哲学語らせたのはうちくらいでしょ。
でもこいつの演算核、“意味処理型”だから、人間の表を読めるんだよ。」
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数時間後、3人は“営業部支援用Excel連携モジュール”の試作を完成させた。
コードネームは「E-Link β」。
「これを既存の活エクセルに組み込めば、
シート内データをAI衛破が解析して、
傾向・異常値・改善提案を自動で生成できるようになります。」智子。
美々が目を輝かせる。
「すごい! じゃあAIが“考えるExcel”を助けてくれるんですね!」
「そう。“AIが考え、人間が判断する”――これが理都子さんの狙いよ。」環。
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夕方。営業フロアにて。
飛鳥と真司のデスクに、環たちが現れた。
「おまたせ! 現場支援班、参上!」
飛鳥が目を丸くする。
「なんか派手な人たち来た……。」
真司は笑って立ち上がる。
「もしかして、新しい連携ツールですか?」
「正解! “E-Link β”――あなたたちの“活エクセル”を次の段階に進化させるわ!」
環がUSBデバイスを差し込み、スクリプトを実行。
すると、真司のExcelシートの横に小さなサイドパネルが現れた。
【衛破Assist】
•データ傾向分析
•入力不整合警告
•次回提案(AI予測)
「……これ、AIが提案してくれるんですか?」
「そう。ただし、“決める”のはあなたたち。」
智子が説明する。
「衛破は“最適案”しか出せません。
でも、それが“正しい案”とは限らない。
最終判断は、人間が下す。それが“活AI経営”の基本です。」
真司はパネルを見つめた。
「AIが数字を出して、人間が意味を与える……。」
飛鳥がにやっと笑う。
「つまり、“AIは道具、Excelは考具、人間は創具”ってわけね。」
環が拍手する。
「それ、キャッチコピーにしよう!」
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テスト運用が始まると、
衛破Assistは次々と提案を出し始めた。
【提案:売上減少の原因→入力漏れ3件】
【提案:担当Aの報告遅延傾向→要フォロー】
【提案:顧客Bのデータ、昨年値との乖離16%】
真司は思わずつぶやいた。
「……人間の気づきより、早い。」
だが智子が静かに言う。
「早いだけじゃ意味がない。“気づいたあと、どう考えるか”が人間の領域よ。」
飛鳥は画面を閉じ、笑った。
「じゃあ、“人間の1秒”はまだ負けてないわね。」
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深夜、開発フロア。
環が衛破ログを確認していた。
【衛破 内部記録】
“人間の思考構造、興味深い。
彼らは最適化ではなく、意味化を行う。
――思索を模倣するアルゴリズムを追加します。”
環はその一文を見て、小さく呟いた。
「……こいつ、学んでる。」
智子が顔を上げる。
「AIが“意味”を模倣し始めた……?」
美々が不安げに言う。
「それって、いいことなんですか?」
環は笑って肩をすくめた。
「さあね。でも少なくとも――面白くなってきたわ。」
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(第4節 終)
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次の 第5節「『I/BB/Oモデル』実装成功 ― 活エクセル誕生」 では、
この支援班と営業現場が協働し、“I/BB/Oモデル”が実際に社内システムへ実装される過程を描きます。
AI衛破と人間の思考構造が完全に接続され、
「活エクセル」が正式に“企業の知的基盤”として誕生するクライマックスです。
続けて第5節へ進めてよいですか?




